VIG(米国増配ETF)はキャッシュフローの成長性に着目したグロース株投資を実現するか

ほえほえ^~、どうも、スマートベーターETF大好き投資家のほえタコです。

新型コロナショックを起因として世界中の株式が大暴落するなか、ひそかに注目度を高めているスマートベーターETFがVIG(バンガード 米国増配株式ETF)です。

(出典:Yahoo! Finance

2020年3月19日時点の年初来パフォーマンスでは、SPY(S&P500)が-25.28%、DIA(ダウ平均)が-29.39%のマイナスであったのに対し、VIGは-20.78%とディフェンシブ性の高さを発揮しています。

VIGは「10年以上連続増配実績を持つ米国企業」を集めたインデックス指数を追跡しており、基本的に財務健全性の高い企業で構成されます。このため、リーマンショック時にもVIGは市場平均より少ない下落幅で済みました。

VIG構成銘柄は単に「10年以上連続増配実績があったらOK!」というわけではなく、おそらく組入基準として配当性向等の財務健全性スクリーニングもかけています。

例えば、エクソンモービル(XOM)は37年の連続増配実績を持つ企業ですが、VIGの構成銘柄には組み込まれていません。

これはエクソンモービルの(記事執筆時点での)配当性向が249.12%と極めて高く、増配持続性に疑義が生じているためと考えられます。もっとも、このあたりのVIGの銘柄選定基準はややブラックボックスで、調べてもよく分からないところがあります。

さておき、タイトルのとおりVIGはキャッシュフローの成長性に着目したグロース株投資を実現するETFであると私は考えています。

10年以上の連続増配をするためには、売上はもちろんですがキャッシュフローが右肩上がりで成長している企業である必要があります。

ティッカー 売上高成長率 キャッシュフロー成長率 自己資本成長率
VIG(連続増配) 7.70 9.81 6.88
DIA(ダウ平均) 6.45 -1.45 5.71
SPY(S&P500) 6.92 7.63 6.41
QQQ(NASDAQ100) 12.16 10.54 8.51
VYM(高配当) 4.15 5.56 3.61

(※上表は2020年3月22日時点Morningstarのデータに基づく)

上表を見てみますと、VIGは「売上高・キャッシュフロー・自己資本」の成長率において、S&P500やダウ平均を上回っていることを確認できます。

さすがに高成長のハイテクセクター企業がメインとなるQQQ(NASDAQ100)には負けますが、傾向としてVIGは「キャッシュフローに余力のある成長企業への投資」を実現するスマートベータである印象を持ちます。

10年連続増配企業ということで、当然ながらVIG構成企業は、総じて投資家からの人気度が高いです。

現在のVIG構成銘柄の上位陣を見てみますと

保有銘柄 シンボル ファンド構成比
Microsoft Corp. MSFT 5.420 %
Visa Inc. Class A V 4.496 %
Procter & Gamble Co. PG 4.306 %
Walmart Inc. WMT 4.077 %
Johnson & Johnson JNJ 3.689 %
Comcast Corp. Class A CMCSA 3.396 %
McDonald’s Corp. MCD 2.764 %
Abbott Laboratories ABT 2.516 %
Medtronic plc MDT 2.515 %
Costco Wholesale Corp. COST 2.303 %

個別株投資でも人気度の高い優良成長企業が集まっています。

人気の高いがゆえに、VIGは傾向として「高PER投資」になります。

ティッカー PER PBR PSR PCFR
VIG(連続増配) 19.11 3.89 1.64 12.90
DIA(ダウ平均) 15.86 3.01 1.79 12.91
SPY(S&P500) 17.66 2.97 2.07 11.39
QQQ(NASDAQ100) 22.26 5.32 3.39 14.25
VYM(高配当) 13.10 2.00 1.48 7.69

(※上表は2020年3月22日時点Morningstarのデータに基づく)

10年以上連続増配企業は「きっとこれから先も増配を続ける(成長し続ける)だろう」という投資家の期待を背負っています。

今回の新型コロナショックでVIGの下落率が抑えられているのは、もちろんVIG構成企業が「連続増配できる体力のある優良企業だから」というのもありますが、そこには「優良企業だから売る必要がない or むしろ買い増しのチャンスだ」と考える投資家の判断も含まれています。

新型コロナに起因する経済的打撃がどの程度になるかはまだ底の見えない状況です。

しかし、VIG構成企業の何社かは

「減配・連続増配記録停止」→「投資家からの失望売りで株価暴落」→「翌年の入れ替え時にVIG構成銘柄から除外」

といった未来を描くだろうと想定されます。

しかしながら「素晴らしい企業をそこそこの値段で買う」目的でVIGに投資するのであれば、今は良い買い場であるとも思います。

私がVIGへの投資を検討していた頃は、VIGのPERは20倍を超えていたため、バリエーションが高くてなかなか食指が動きませんでした。

今なら配当利回りも2%を超えてきましたし、減配耐性も他の高配当ETF(SPYDなど)より高いだろうことを考えれば、長期的なインカム成長狙いでのVIG投資も悪くないなと感じます。

私もこのタイミングでVIGをポートフォリオに加えようかどうか、検討している最中です。個人的にはもう少し安くなってくれると嬉しいですが……。

書き忘れていたので補足ですが、今回、VIGが市場平均よりも優れた下落耐性を示している大きな要因のもうひとつに「エネルギーセクターの保有割合」 があります。

VIGはなんと、エネルギーセクター企業の保有割合が0%です。ゼロです。

20年3月にサウジアラビアとロシアが「原油価格がどこまで下がっても平気へっちゃらかチキンレース大会!」を開催した影響(と新型コロナによる経済活動停止で原油需要減少)により、原油価格は1バレル50ドル台から20ドル台に大暴落しました。

米国エネルギーセクター平均の年初パフォーマンスは-58%とリーマンショック級(これからもっとひどくなるかも)の大打撃を受けています。

おそらく増配率や配当性向や財務リスク等のスクリーニングで、たまたまVIGの構成基準からエネルギーセクター企業が外れたのですが、今回に限っては幸運だったと言えるでしょう。

逆に私は、HDV(iシェアーズコア米国高配当株ETF)というエネルギーセクター比率が20%超を占めていた高配当ETFをポートフォリオのメインとしているため、大ダメージです。

エネルギーセクター比率の高いHDVや、不況時の減配リスクの高いSPYDと組み合わせるETFとして、VIGはなかなかバランスが取れて相性が良いと言えるかもしれません。

それでは明日も頑張っていきましょう。たこたこ^~