恥の多い投資人生を送ってきました。
株式投資に出会ったのは2012年。当時、就職活動を間近に控えた私は、社会に出るのが怖い! 働きたくない! というコミュ障大学生であれば誰もが抱くであろう恐怖と葛藤を胸に、現実逃避から株やFXやアフィリエイトの本を読み漁っていました。
そのとき読んだ株の本には『PER18倍以下の株は割安! 安く買って高く売ろう!』といった感じの、今にして思えば失笑ものの浅い情報しか書かれていませんでした。
しかし私は「OK 完全に株のこと理解したわ。チャートの底で買って、天井で売る。 楽勝だぜ!」と意気揚々、証券口座を開設。飛び込んだのが、個別株スイングトレードの世界です。
ガンホーですとかスリー・ディー・マトリックスですとか、その時々の人気銘柄に飛びついて売買を繰り返し、お金を増やしたり減らしたりを続けながらイナゴトレーダー(養分)としてすくすくと成長していきました。
当時は「米国株や全世界株に長期インデックス投資しよう!」といった今であればありふれた言説はほとんどなく、株といえば国内個別株みたいなところがありました。
無論、良い情報も世には出ていました。
橘玲氏が2006年に出版した『臆病者のための株入門』のなかでは「ゼロサムゲームのトレードの世界で戦うのはやめよう。プラスサムゲームである全世界株インデックスに投資して堅実な資産形成をしよう」といった旨の素晴らしい提言がされています。
じつは当時の私もこの本は読んでいたのですが、悲しき哉、一度トレードの世界に身を置くと感覚が破壊されるので「インデックス投資なんてかったるいことしてられるか」と思っていました。
もし2012年から全世界株インデックスに投資していれば、2021年現在では資産を2.4倍に増やせていたのに。タイムマシンがあったら自分を殴り飛ばしたい気持ちです。
ただ弁護もしておくと、2012年当時、インデックスは右肩上がりではありませんでした。
上のチャートは、1999年~2012年までのS&P500のチャートです。ずっとヨコヨコしており、13年もの長期間で見てもちっとも上昇していませんね。だからインデックス投資でお金持ちになれる未来が、どうしても頭に思い描けなかったのです。
今日においてインデックス投資がブームなのは、人々の金融リテラシーが向上したからですか?
もちろんそれもあるでしょう。しかし本当のところ、インデックス投資が大人気になったのは、インデックス指数が右肩上がりのチャートになったからではないでしょうか。
さておき、それから3年くらいスイングトレーダーとして活動していたものの、結局、株では全然勝てませんでした。ヤフー掲示板の仕手筋情報を鵜呑みにしてPTSでイナゴ買いとかをしていたので負けて当然です。むしろ退場しなかったのが奇跡とも言えるでしょう。
そんな私が2017年に出会ったのが、そう、仮想通貨です。
ビットコインは当時1BTC = 30万円で取引されていました。もちろん買いましたとも。
2021年では1BTC = 600万円まで高値をつけていますから、そのまま持ち続けていれば資産を20倍にできる大チャンスでした。
でもそんなことができた投資家は、おそらく0.1%もいなかった。何故ならば、仮想通貨ブームは2018年に一度終焉を迎えたからです。
2017年~2019年のビットコインのチャートです。見事なイナゴタワーですね。
ビットコインをハードウォレットに入れて地中に埋めていた人か、ビットコインの狂信者であるか、ニュースを見ずに眠っていた人でもなければ、到底持ち続けられないチャートです。コインチェックやZaif等の大手取引所では大規模な仮想通貨流出事件があり、取引所そのものの信用リスクもありました。
当時の私は不眠症になるレベルで仮想通貨にのめり込み、草コインでお金を溶かし、ICO詐欺に引っかかり、コインチェック事件後のバブル崩壊をまともに喰らい撃沈と散々でした。
それがまさかたった2年後に
なんということでしょう! ビットコインがここまでの大復活を遂げるなど、誰が予想できたでしょうか。
ブームに乗っかって投資をしているイナゴは、ブームの終焉と共に滅びゆくしかないのです。
まだインデックスが低迷していた2012年に、自身の知識と信条をもってして全世界株インデックスを持ち続けられた人は資産を2.4倍にできました。
仮想通貨バブルが崩壊した2018年に、それでもビットコインの未来を信じてHODLできた人は資産を10倍以上にできました。
無論、信じるものが報われるとは限りません。
ただひとえに、自分のなかで納得のできる投資根拠と信念を持っていないと、ブームの終焉時にそれを持ち続けるのは不可能なんだなぁとしみじみ実感する次第です。
このブログの昔からの読者の方はご存知のとおり、私は2018年に米国高配当株がブームだったときに、案の定そのブームに乗っかって、HDV(iシェアーズコア米国高配当株ETF)100%の全力ポートフォリオを構築していました。
そしてコロナショックで高配当エネルギー株が大ダメージを受け、ツイッター上でもコテンパンに高配当株投資が嘲笑されるのに心が折れ、あれだけ熱心に買い増していたHDVをほぼ底値に近い場所で手放すという大失態を演じました。
直近ではレーザーテックを空売りして盛大に踏み上げられてお金を溶かすなど、失敗談を挙げればキリがないのですが、もう本当に、心の底から。
同じ過ちを二度と繰り返したくない。繰り返してはいけない。
と思いました。
私は囲碁が昔からの趣味なのですが、囲碁には「石音の反対に打て」という格言があります。
石音のする方、すなわち相手が打った石に気を取られてその石を追っかけてばかりいると、本質的な利益を取り逃して負けてしまう。大局観を持って判断せよということですね。
投資格言にも「人の行く裏に道あり、花の山」という似たような格言があります。
ブームやそのときの熱狂に流されることのない、確固たる投資スタイルを持ちたいものですね。
ツイッターでも近況を呟いています。フォロー頂けたら嬉しいです。
人間は痛い目を見ると反省して改心すると言いますが、実際に株トレードをやっていると同じ過ちを何度も何度も繰り返してしまうので、そんなことはないんだよなぁ…としみじみ思いますね。
— ほえタコ (@HoeTako) September 3, 2021
それでは明日も頑張っていきましょう。たこたこ^~!