SPDR S&P 500 グロース株式(SPYG)への長期投資は合理的か

ほえほえ^~、どうも、ほえタコです。

いきなり出鼻を挫くようで恐縮ですが、この記事では「グロース株投資とバリュー株投資はどちらが有利か?」という話はしません。というのも、経済が好況か不況か、相場が楽観的か悲観的かによって、両者の勝敗は簡単に入れ替わるからです。

とくに、SPDRポートフォリオS&P 500グロース株式ETF(SPYG) のようなETFを運用するのであれば、長期的には平均回帰で S&P 500 インデックスとほぼほぼ大差ないパフォーマンスになると読んでいます。バリュー株式ETFでも同じことです。なお、ここでいう長期とは30年スパンです。

青線:SPDRポートフォリオS&P 500グロース株式ETF(SPYG) 

赤線:SPDR S&P 500 ETF トラスト(SPY) 

黃線:SPDRポートフォリオS&P 500バリュー株式ETF(SPYV)

上図は配当金再投資を加味した、SPYG(グロース)、SPY(市場平均)、SPYV(バリュー)の過去9年間のパフォーマンスグラフです。

このチャートだけを見ると

「グロース株は市場平均をアウトパフォームしており素晴らしい。それに比べてバリュー株は市場平均にも負けていて冴えないな。バリュー派ざまあwwwww」

と感じるかもしれません。

ですが、ここ10年はたまたまグロース株が好調な時期であったというだけで、これから先10年もグロース株ETFが市場平均をアウトパフォームし続ける理由は何一つありません。

どころか米国市場がリセッション入りすれば、グロースとバリューの形勢は逆転する可能性の方が高いです。

そもそも、10年間のパフォーマンス比較が投資判断にほとんど役に立たないことは、2001~2010年の9年間のチャートを見ればよく分かります。

青線:SPDRポートフォリオS&P 500グロース株式ETF(SPYG) 

赤線:SPDR S&P 500 ETF トラスト(SPY) 

黃線:SPDRポートフォリオS&P 500バリュー株式ETF(SPYV)

2001~2010年の期間では先程のチャートとは打って変わって、バリュー株が市場平均をアウトパフォームし、グロース株が市場平均に大きく負けています。

どこの期間で切り取るかによって、パフォーマンスの印象などいかようにも変えてしまえます。

長期投資では兎にも角にも、恣意的なチャートに騙されないことが大切です。

長期で市場平均と同じパフォーマンスなら、SPYGへの投資は合理的

さて、SPYGが短期的にS&P 500に勝つか負けるかはどうでも良いことです。

しかしながら、もしも長期的に投資した結果、SPYG が S&P 500 と同じくらいのパフォーマンスに行き着くのであれば、SPYG への投資は S&P 500 に投資するよりも合理的です。

なぜならば、SPYG は経費率が最安水準であることに加え、分配利回りが市場平均よりも低い。すなわち配当金にかかる税金の影響を最小限に抑えて再投資ができるからです。

ティッカー 経費率(%) 分配利回り(%) 分配金課税(%) 経費 + 課税分(%)
HDV 0.08 3.52 1.00 1.08
SPYV 0.04 2.65 0.75 0.79
VOO 0.04 1.91 0.54 0.58
SPYG 0.04 1.46 0.41 0.45
QQQ 0.20 0.83 0.23 0.43

上のテーブル表は、資産合計に対して毎年かかるETFの経費 + 分配金の課税分を簡易的に計算したものです。

ティッカーはそれぞれ

  • HDV(iシェアーズ コア 米国高配当株 ETF)
  • SPYV(SPDRポートフォリオS&P 500バリュー株式ETF)
  • VOO(バンガード S&P 500 ETF)
  • SPYG(SPDRポートフォリオS&P 500グロース株式ETF)
  • QQQ(インベスコ QQQ トラスト シリーズ1 ETF)

となります。

SBI証券の銘柄情報では SPYV や SPYG の経費率が 0.06% と記載されていますが、18年11月現在では 0.04% が正しい情報です。

ご覧のとおり、ETFの経費率が低ければ低いほど、分配利回りが低ければ低いほど、余計なコストはかからずに済みます。

分配利回りの低いグロース株はその分キャピタルゲインに課税が多く発生しますが、譲渡益税は利確さえしなければいつまでも繰り延べられます。つまり、その分だけ効率的に資産を運用することができます。

私が100%全力投資している高配当ETFの HDV などは経費率と分配金課税分を合算すると、年間 1%以上のロスが生じていますね。(涙目)

NASDAQ市場に投資できる QQQ は経費率が 0.20% と割高ですが、分配利回りが低いためトータルでは最もロスが少ないです。

分配利回りが低い点において、グロース株ETFに投資するのは合理的であると言えます。

ティッカー 経費(円) 分配金(円) 分配金課税(円) 経費 + 課税分(円)
HDV 800 35,200 9,956 10,756
SPYV 400 26,500 7,495 7,895
VOO 400 19,100 5,402 5,802
SPYG 400 14,600 4,129 4,529
QQQ 2,000 8,300 2,347 4,347

上のテーブル表は、ETFにそれぞれ 100万円分投資した場合にかかるコストの概算です。

例えば HDV の経費率は 0.08% ですから、100万円であれば 800円です。

また、HDV の分配利回りが 3.52% であると仮定すると、100万円に対して 35,200円が分配金として入ってきます。

この分配金から、米国の所得税 10% が源泉徴収で差し引かれます。そしてさらに日本の所得税 20.315% が追加で差し引かれます。引かれる税金を合算すると、 9,956円 となります。

経費率によるロスと税金によるロスを合わせると、 10,756円(1.08%)になる、ということですね。

これが SPYG であれば、HDVよりも年間 6,227円(0.63%)程度、有利に資産運用できる計算になります。

この 0.63% の差異をどう考えるかによって、取るべき投資スタンスが変わってきます。

ちなみに一般NISA口座で運用する場合は、国内課税分(20.315%)が非課税となり、表はこのようになります。

ティッカー 経費率(%) 分配利回り(%) 分配金課税(%) 経費 + 課税分(%)
HDV 0.08 3.52 0.35 0.43
SPYV 0.04 2.65 0.27 0.31
VOO 0.04 1.91 0.19 0.23
SPYG 0.04 1.46 0.15 0.19
QQQ 0.20 0.83 0.08 0.28

100万円分のETFを運用する場合の概算。

ティッカー 経費(円) 分配金(円) 分配金課税(円) 経費 + 課税分(円)
HDV 800 35,200 3,520 4,320
SPYV 400 26,500 2,650 3,050
VOO 400 19,100 1,910 2,310
SPYG 400 14,600 1,460 1,860
QQQ 2,000 8,300 830 2,830

配当課税分が軽減されたことで、QQQ よりも SPYG の方がトータルコストを抑えられています。

以上を踏まえると、税金を理由に SPYG を投資対象とすることには一定の妥当性があると考えます。

とはいえ、市場平均には絶対負けたくない!という人は VTI や VOO を選択するのが一番でしょう。

VOO と SPYG の配当課税分のロスコスト差異は、特定口座運用で年間 0.13% 程度、NISA口座で 0.04% 程度です。

今後、グロース株が市場平均やバリュー株にアンダーパフォームする時期がしばらく続く可能性を考えると、素直に市場平均を買った方があとあと後悔せずに済みます。

もっとも、10年チャートで SPYG(グロース) が SPY(市場平均) や SPYV(バリュー)に負け、「グロース株投資はオワコンだ!」と叫ばれるようになった頃こそが、 SPYG の絶好の仕込み時だと言えるでしょう。

なんにせよ、投資家は周囲の意見に惑わされず、自分の信じる道を貫くのみですし、私はコスト面では不利なHDV全力投資をこれからも続けていきます。

それでは明日も頑張っていきましょう。たこたこ^~

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この記事を書いた人

豆腐メンタル投資家。株式投資歴9年。
iDeCo&つみたてNISAでの全世界株投資を主軸に、趣味で米国株や日本株のリスク許容度最適化ポートフォリオを組む。
ツイッターは @HoeTako
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