SDY(SPDR S&P 米国高配当株式ETF)は最強の米国高配当株ETFか?

ほえほえ^~、HDV全力投資家のほえタコです。

スマートβ系で米国高配当株のETFと言えば、国内人気はおおよそ相場が決まっていて

  • VYM(バンガード 米国高配当株式ETF)
  • SPYD(SPDRポートフォリオS&P 500高配当株式ETF)
  • HDV(iシェアーズコア米国高配当株ETF)
  • VIG(バンガード 米国増配株式ETF)

の4つの人気が高いです。この頃はSPYDとVIGの人気度が増している印象を受けます。

しかしながら、これら4つのETFには次のような短所があります。

VYM → 金融セクターの比率が高く、リーマンショック時の最大下落率は S&P500 よりも大きかった。高配当だがそんなにディフェンシブではない。
SPYD → 高配当でパフォーマンスも良いが、セクターが不動産と公益事業に偏りすぎている。業績の怪しい高配当銘柄も多数組み入れられている。
HDV → ディフェンシブ性は高そうなものの、パフォーマンスが他の高配当株ETFに比べて最も劣っており、上昇相場ではクソ雑魚ナメクジである。
VIG → 長期的な成長と増配の見込まれる優良企業で構成されており市場平均を上回るパフォーマンスを誇るものの、分配利回りが 1.71 %とかなり低く、インカムゲイン目的の投資には不向き。

つまり、

  • VYMより金融危機耐性があり
  • SPYDよりセクターバランスが整っており業績に問題のない企業群で構成され
  • HDVよりディフェンシブ性を持ちパフォーマンスにも優れ
  • VIGよりも分配利回りが高く将来的な成長性も見込まれる

そんな欲張りセットな夢の高配当ETFがあったらいいなと思って探していたのですが、見つけました!

SDY(SPDR S&P 米国高配当株式ETF)です。

SDYは「S&P高配当貴族指数」に連動するETFとしてそこそこ知名度が高いため、知っている方からすると「なんだよSDYかよ! さんざん期待を煽っておいてふざけやがって!!」と怒られるかもしれませんが、バックテストでいろいろ比較してみると結構素晴らしいETFであることが分かります。

つい昨日(2019年12月30日)、米国市場は年末利益確定売り(?)の調整が入ったようで、S&P500は -0.55%の下落となりました。

同日、米国高配当系ETFは、[VYM -0.47%],[SPYD -0.33%],[HDV -0.45%],[VIG -0.42%]の下落となりました。その中であまり下がらなかったのがSDYで、-0.28%しか下落しませんでした。

また2018年は株や債券や金や不動産や、あらゆる資産クラスが下落した年でした。

私は当時からポートフォリオの100%をHDVで運用していたので

「S&P500の年間パフォーマンス -4.56%に対してHDVは -2.98%! 市場平均に対して(珍しく)HDVは大勝利だぜ! やったぜ!!」

とドヤ顔していたのですが、この年、SDYのパフォーマンスは -2.74%とHDV以上に底堅かったです。

(グラフやデータは https://www.portfoliovisualizer.com/backtest-portfolio を使っています)

2012年~2019年パフォーマンス比較

ティッカーSPY(S&P500)HDVSDY
年平均成長率14.52%10.89%13.29%
標準偏差11.02%9.85%10.19%
Best Year32.31%23.59%30.07%
Worst Year-4.56%-2.98%-2.74%
最大下落率-13.52%-8.02%-7.89%
Sharpe Ratio1.241.041.22
Sortino Ratio2.031.762.11
米国株式市場 相関10.780.91

2012年~2019年の期間比較では、SDYは市場平均に追随するパフォーマンスを得つつも、最悪年のパフォーマンスと最大下落率は(ディフェンシブ性の高い)HDVよりも低く抑えられています。

下落局面でのリスクあたりリターンを測るSortino Ratio(下方偏差)の値も市場平均より優れています。

ただ本当の下落耐性はリーマンショック期間を含めて比較しなければ分かりません。HDVの設定年は2012年でそれ以前のデータがありませんので、今度はVYMと比べてみます。

リーマンショックのあった2008年のパフォーマンスは

  • SPY(S&P500):-36.81%
  • VYM:-31.91%
  • SDY:-22.83%

と、SDYは他と比べてかなり下落を抑えられています。

2007年~2019年パフォーマンス比較

ティッカーSPYVYMSDY
年平均成長率8.53%7.78%8.51%
標準偏差14.60%14.04%14.52%
Best Year32.31%30.08%30.07%
Worst Year-36.81%-31.91%-22.83%
最大下落率-50.80%-51.79%-49.29%
Sharpe Ratio0.580.540.58
Sortino Ratio0.830.770.84
米国株式市場 相関10.950.87

2007年からのパフォーマンスを見ても、SDYはS&P500に負けずとも劣らない素晴らしいパフォーマンスを叩き出し、それでいてVYM以上の下落耐性を示しています。(分配金再投資込みでの成績です)

分配金再投資込みであれば、分配利回りも多くの年でVYMを超えています。

おっとこのグラフで不自然な箇所があることに気づいたあなたは賢明です。あとで解説します。

つまりまとめると、

VYM → 金融セクターの比率が高く、リーマンショック時の最大下落率は S&P500 よりも大きかった。高配当だがそんなにディフェンシブではない。
SDY → リーマンショック耐性がある!
SPYD → 高配当でパフォーマンスも良いが、セクターが不動産と公益事業に偏りすぎている。業績の怪しい高配当銘柄も多数組み入れられている。
SDY → セクターは「資本財:18.72%、金融:14.58%、生活必需品:14.08%、素材:9.87%」とさほど偏りはない。20年以上連続増配の優良企業で構成されている。
HDV → ディフェンシブ性は高そうなものの、パフォーマンスが他の高配当株ETFに比べて最も劣っており、上昇相場ではクソ雑魚ナメクジである。
SDY → 過去の年間下落率はHDVよりも低いうえに、市場平均に追随するパフォーマンス!
VIG → 長期的な成長と増配の見込まれる優良企業で構成されており市場平均を上回るパフォーマンスを誇るものの、分配利回りが 1.71 %とかなり低く、インカムゲイン目的の投資には不向き。
SDY20年以上連続増配の優良企業で構成されているうえに、分配金再投資込みで長期投資ならインカムはVYMをも上回る年が多い。

で、ここでたぶん疑問に思った方はいると思うんです。

「さっきのSDYのインカムゲイン推移のグラフ、おかしくない? なんでこんなに各年でばらつきがあるの?」

現在のVYMの分配金利回りは 3.03 %です。対して、SDYの分配利回りは 2.46 %です。

利回りにこれだけ差がついているのに、(たとえ再投資込みだったとしても)どうやってSDYがVYMのインカムを上回れるのか?

不自然です。ここには罠が隠されています。

SDYの過去の利回り推移を見てみましょう。

https://seekingalpha.com/symbol/SDY/dividends/yield

ふぁっ!?

分配利回りがおおよそ 2.5%~5%のあいだを推移しています。しかも年によって変動がものすごく大きい。どういうことでしょう。

SDYの過去の分配金履歴も見てみましょう。

https://seekingalpha.com/symbol/SDY/dividends/history

ふぁっ!?

四半期毎に貰える通常の分配金のほかに、謎の分配金が2008年、2014年、2015年、2016年、2017年、2018年に出されていますね。SDYのインカム推移を不安定にさせている原因はこれだったようです。

これは一体何なのでしょうか。

じつはこれは『Capital Gain Distribution』(キャピタルゲイン分配金)と呼ばれるものです。

通常、ETFの分配金は構成銘柄の配当金がその元となっています。

しかしキャピタルゲイン分配金は、配当ではなくETFの構成の銘柄入れ替えから生ずる「キャピタルゲイン」が特別な分配金として支給されます。

SDYの売買回転率は年間でおよそ20%ほどですから、その際に生じた「キャピタル・ゲイン – キャピタル・ロス」の余剰金が特別分配金として出されているのでしょう。もちろんこの分配金に対しては課税されます。

「おいおいちょっと待ってくれよ。そしたら売買回転率が57%のHDVはどうなんだよ。そんな特別の分配金なんて貰ったこと無いぞ」というツッコミがあると思います。

本来ならば、ETFの「キャピタルゲイン分配金」は5年に1回くらいのイレギュラーな年に発生することはあれども、そう毎年毎年に発生するようなことはありません

なぜならETFは「銘柄入れ替え」に伴うキャピタルゲイン課税を回避するように運用がなされているからです。

例えば売買回転率が非常に高く3ヶ月に1回の頻度で銘柄をコロコロと入れ替えるHDVの運用ファンドが、公開市場でその銘柄の売買をおこなったとしたら純粋な売買手数料と課税コストでETFのパフォーマンスが著しく落ちることになります。

一般的にETFの運用会社は構成銘柄の変更をおこなうとき、その銘柄を流通市場で売却するようなことはせず、指定参加者(AP)に対して現物(原資産)を提供することにより株式バスケットからその銘柄を外し、キャピタルゲインが発生しないようにしています。

「キャピタルゲイン分配金」も本来はあまり出されないものであり、事実として『バンガード社のETFの圧倒的多数(85%)は5年間でキャピタルゲインの分配を行っていません』といったようなことがバンガード社のホームページには記載されています。
https://investornews.vanguard/why-do-etfs-pay-capital-gains/

キャピタルゲイン分配金は、SPYDも2017年に出しています。その他のVYMやHDVやVIGはそのような特別な分配金を出したデータは見当たりませんでした。

SDYは構成が Small Cap:10.9%、Mid Cap:40.5% と中小型銘柄が多いために、売買回転でキャピタルゲインが発生しやすいのかもしれません。(憶測です)

ここで最強かのように思われたSDYの短所が少し見えてきましたね。

  • SDYは経費率が 0.35 %と高い
  • SDYは「キャピタルゲイン分配金」という普通のETFなら滅多に出さない(税金上不利な)分配金を何故か高頻度で出している

もちろん、SDYは「S&P高配当貴族指数」に投資のできるETFとしては魅力的で、バックテストの結果も申し分ないです。

しかしSDYは上記の短所があるためか、あまり人気が無いのかもしれませんね。

私はこれからもHDV 100%で戦うつもりです。HDVは設定来、まだ本当の下落相場は未経験であるため、そのディフェンシブ能力は未知数です。

SDYの存在を知ったときは「めっちゃええやん! 乗り換えよ!!」と思ったのですが、やっぱり自分の信じた道を(その前提が覆されない限りは)突き進みたいですね。

それでは明日も頑張っていきましょう! 来年もどうぞよろしくお願いいたします。たこたこ^~!