ほえほえ^~、どうも、ほえタコです。
2021年8月20日に、GMOクリック証券のCFDを用いて「金鉱株ブル2倍ETF(NUGT)」のショートと「金スポット」のロングを1:2のポジション比率で両建てしました。
すなわちゴールドを買って金鉱株を空売りするといった、意味不明にも思える行為なのですが、この取引の意図するところは以下のとおりです。
- 金価格が下落するとき、金鉱株は金以上に売られる傾向にある
- 金価格がボックストレンドのとき、金鉱株ブル2倍ETFは、そのレバレッジの特性により減価しやすい
- 米国株が急落するとき、金よりも金鉱株の方がマーケット感応度が高く売られやすい
- そもそも金鉱株ブル2倍ETFの長期リターンはマイナスであり、長期的にロングできる代物ではない
- 金鉱株ブル2倍ETFのショートに必要なコストは、ETFの経費率で相殺される
端的に、米国株の暴落ヘッジ、およびレバレッジETFの減価を利とすることを目的とした実験的トレードです。
当然ながらレバレッジETFをショートすることには多大なリスクを伴うため、他の人にはおすすめできません。
1.金価格が下落するとき、金鉱株は金以上に売られる傾向にある
過去15年間での米国株マーケット相関度は、金(GLD)が 0.05 で金鉱株(GDX)が 0.21 です。
したがって、金も金鉱株も、基本的にはほぼほぼS&P500と相関しない。しかし、金と比べると金鉱株の方が相関度は高いです。
そしてどのようなときに相関度が高くなるかと言いますと、直近の例を出すとコロナショックのときのような下落時です。
コロナショック時、S&P500と金鉱株(GDX)はどちらも-30%超のドローダウンとなりましたが、金は-8%程度までしか下がりませんでした。
リーマンショック時も同じで、S&P500と金鉱株は同じくらい叩き売られましたが、金価格は株ほどには下げませんでした。
平常時には金価格と金鉱株価は連動する。しかし○○ショック時には、金鉱株は米国株マーケットの影響を受けやすくなる。株式市場暴落時における、この金と金鉱株のマーケット相関度の差異を利用して、ヘッジをかけられないか、というのが今回の実験的トレードの主目的となります。
2.長期投資に値しないレバレッジETFは、むしろ長期ショートに向いている?
金鉱株ブル2倍ETF(NUGT)は、コロナショックを発端としたレバレッジETF規制が取り沙汰される前は、レバ2倍ではなくレバ3倍でした。
そのためバックテストを根拠としては例示しづらいのですが、しかしながら、NUGTの設定来から現在に至るまでの年平均成長率(CAGR)は -48.88% という恐ろしいマイナスパフォーマンスです。
10年前にNUGTに100万円を投資していたら、今ではなんと8万円になっています。
SPXL(S&P500レバ3倍)やTQQQ(NASDAQ100レバ3倍)など、一部の成功例があるため忘れられますが、そもそもレバレッジETFは(右肩上がりが確約される指数以外に対しては)長期投資に値しません。
これは金鉱株(GDX)と金鉱株ブル2倍ETF(NUGT)の比較をしてみると一目瞭然です。
青が金鉱株(GDX)で、赤が金鉱株ブル2倍ETF(NUGT)です。
2011年~2021年では、ゴールドの年平均成長率が1.93%であるのに対し、GDXは-4.61%、NUGTは-48.88%でした。
バックテストをする限り、長期投資するなら金鉱株よりも金そのものの方が良さそう。ましてや金鉱株レバレッジETFは論外。であるならば、金をロングし、金鉱株レバレッジをショートして両建てするのはどうなの?と考えたのが、今回の戦略の発端です。
3.金鉱株レバレッジETF(NUGT)を長期ショートするコスト
この記事を執筆している2021年8月22日現在、GMOクリック証券でのNUGTの売建価格は47.22ドル、1日の金利調整額が-0.41円です。(変動します)
47.22ドル = 5,185円 に対して、ショートにかかる年間の発生コストが -0.41円 × 365日 = 149.65円。
ざっくり年 2.8% の金利負担がかかる計算です。
そしてNUGTのETF経費率は1.14%(変動します)ですから、この分を差し引くと年間1.66%くらいのコストでショートできる計算になります。
金利が上がればコストが増えますが、金利が上がるシナリオケースは金鉱株に対してバッドニュースであるため、問題はなさそうです。
で、話はここで終わらず、少なくともこの記事執筆時点では、GMOクリック証券での金利調整額は小数点以下が切り捨てされます。
したがって、1株ずつ建玉を分割してショートポジションを持った場合、1日に発生する -0.41円の金利コストは0円となり、毎週金曜日に発生する3日分の金利調整額(1円)のみの負担となるため、年間で365÷7=52円しかコストが発生せず、年利は52円÷5185円=0.01
すなわち年1%の金利調整額コスト – NUGTの経費率がほぼゼロとなるため、スプレッドコストを除けば実質無料でショートをかけられることになります。(制度改悪リスクは常にあります)
また、両建て用の金スポットのロングコストは年0.37%くらいでしたので、こちらも許容範囲です。
4.損失リスク
CFDを用いたNUGTショート・金スポットロングの両建て戦略は、ここまで説明してきたとおりある程度の合理性のある取引であると考えていますが、当然ながら負けるリスクがあります。
- 金価格が下落し、金鉱株がそれ以上に叩き売られる
- 米国株式市場がクラッシュし、金鉱株だけがそれに引っ張られる
- 金価格がボックストレンドを形成し、レバレッジETFが減価してゆく
上記のパターンでは勝てるものの、
- 金価格が上昇し、バブルで金鉱株が大暴騰する
このパターンでは、いくら両建てしているからといって損失は免れません。
当戦略は「金鉱株の上昇トレンドは継続しない」ことが勝利条件となっています。
「金鉱株の上昇トレンドが継続」した場合、レバレッジETFのNUGTはその《増価》特性によりダブルバガーどころかテンバガーに到達する可能性も十分にあり、とても両建てではカバーできないです。
私としては、金価格は長期的にはインフレに応じて上昇するものの、テーパリングと利上げが警戒される現在の状況下では上抜けしにくく、ゴールドが大暴騰する前に、米国株式市場で一波乱があるのではと予想しています。
目論見通り一波乱が起これば、そのときにこの両建てポジションを利益確定し、株式の購入資金にあてる予定です。
繰り返しになりますが、本戦略はトリッキーすぎてとても他者に勧められるようなものではないので、そこのとこだけよろしくお願いいたします。
ツイッターの方でもトレードについて呟いています。フォローいただけたら嬉しいです。
CFDにて金をロングし、レバ加味で同額となるよう、金鉱株レバ2倍ETF($NUGT)をショート。金と金鉱株は基本的には連動するものの、両者の米国株マーケット感応度と標準偏差、ドローダウン率の差異を利用し、両建てでの暴落ヘッジを試みる。実験的トレード。タイミングはミスった(遅すぎた)かも……
— ほえタコ (@HoeTako) August 20, 2021
それでは明日も頑張っていきましょう。たこたこ^~!