デメリットを加味しても「iDeCo」に入ろうかなぁと考えている理由

ほえほえ^~、どうも、米国株投資家のほえタコです。

iDeCoに加入してeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を積み立てていこうかなぁ……とこの頃考えています。

肝心のiDeCoなんですがお世辞にも良い制度とは言えなくて、絶妙なデメリットが存在するためそこが悩みのタネです。

列挙すると

  1. 原則として60歳まで引き出すことができない
  2. 退職所得控除を超えた分は課税される(60歳で全額受け取る場合)
  3. 加入・移換時手数料:初回 2,829円
    収納手数料:月額 105円
    事務委託手数料:月額 66円
    と、非課税を謳っているくせして謎の手数料が毎月発生する
  4. 運用資産全体に年率1.173%を課税する「特別法人税」とやらが復活するかも!と警告している人がけっこういて、たしかに可能性はゼロではないので怖い。
    あと「退職所得控除」が将来改悪されてもダメージを受ける。

こんなところでしょうか。

私の場合、よくよく考えてみれば上記4つのデメリットのうち、「特別法人税の復活や退職所得控除の改悪リスク」を除く3つのデメリットについては許容範囲かなと考えています。

1.原則60歳まで引き出すことができない件について

私のライフプランの場合、iDeCoは「個人型DCで月額23,000円積み立てて30年運用する」シミュレーションとなります。

iDeCoの掛け金上限は

タイプ 掛け金上限(月額)
自営業者 68,000円
専業主婦(主夫) 23,000円
公務員 12,000円
会社員(企業年金なし) 23,000円
会社員(企業型確定拠出年金のみに加入している) 20,000円
会社員(確定給付企業年金に加入している) 12,000円

と人によって異なります。

後述する手数料を加味すると、掛け金上限が高い人の方が「運用資産に対する手数料割合」が軽減されて有利ではあります。

私はちょっと前まで自営業者だったんですが、コロナによる影響で就職活動を余儀なくされ、現在は会社員(企業年金なし)として働いています。そのため掛け金上限は月額23,000円です。

シミュレーションをかけると、30年運用での積立元本は計828万円、年利4%で運用できた場合は約1500万円の総資産額となります。

このあたりの損得シミュレーションはNTTデータが提供している

iDeCoシミュレーション

上記のツールがめちゃ分かりやすいです。

こんな感じで見やすくまとめてくれます。

さて、この結果から言えることは(iDeCoに加入してようがしてまいが)どのみち老後の備えとして2千万円くらいは貯蓄しておきたいということです。

「1億円貯めたのに60歳まで引き出せない!」であれば確かに資金拘束リスクが嫌です。

しかし「1500万円が60歳まで引き出せない!」であれば、むしろ《60歳まで壊れない貯金箱》として優秀だとも考えられます。

ただ私は子どもの頃からわりと病弱で、怪我もしょっちゅうしてましたし、運も悪いほうです。

新型コロナウイルスでたくさんの人が亡くなり、気候変動に伴う異常気象が頻発し、南海トラフ巨大地震がいつ発生するかも分からず、世界中で内乱が勃発し、第三次世界大戦だって起こらないとは言い切れず――云々、悲観的に考えたときに、自分が2020年現在の日本人平均寿命(81.25歳)まで生きられると考えるのは、それはそれで希望的観測とも言えるでしょう。

とはいえ自分が何歳で死ぬかを予知できない以上、そのあたりは考えても仕方がないかなと思います。

仮に60歳前に死んでしまったとしても死亡一時金という形で遺族が全額受け取れる仕組みとなっています。その点では悔いはないです。

2.退職所得控除を超えた分は課税される件について

退職所得控除を超えた分が課税される件については、私のケースではそもそも勤め先の会社に退職金制度が存在しないため問題とはなりません。

退職所得控除は勤続年数20年以上の場合、

800万円+70万円×(勤続年数-20年)

の計算式で算出され、勤続年数30年の場合は1500万円分が非課税となります。

先程のシミュレーションでは1500万円の運用結果だったため、目論見通りなら、ほぼほぼ非課税となるでしょう。

しかし30年後の「退職所得控除」が改悪されている可能性もあり、そこは懸念点です。

3.手数料が諸々かかる件について

冒頭にも書いたとおり、iDeCoには下記のコストが発生します。

加入・移換時手数料 初回 2,829円
収納手数料 月額 105円
事務委託手数料 月額 66円

加入手数料はまだ良いですが、毎月発生する「収納手数料+事務委託手数料=月額171円=年額2,052円」は、つらいところがあります。

2,052円 ÷ 276,000円(年間積立額)= 0.74%

積立上限額(月2万3千円)まで拠出をしても、年間積立金額に対して毎年0.74%のコストが発生します。

「MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信 (2559)」の経費率(信託報酬)が 0.0858% の時代において、0.74%ものiDeCoコストが発生する。これは……、ちょっと嫌ですね……。

しかしiDeCoは「月払いの毎月拠出」を「年払いの1回拠出」に変えることができます。

つまり「毎月23,000円を拠出する」のではなく「年に1回276,000円」を拠出するわけですが、年払い形式に切り替えることで拠出のたびに発生する「収納手数料:月額 105円」を年1回に抑えることができます。

年間発生コストは「105円 + 66円×12 = 897円」となり、拠出額を年276,000円とした場合のコスト割合は0.325‬%にまで減らせます。

このくらいならまだ許容範囲です。

“Sell in May, and go away. Don’t come back until St Leger day.”

5月に株を売れ。そしてどっか行け。セントレジャー・デー(9月の第2土曜日)まで戻って来るな。

の相場アノマリーに則って「9月26日」か「10月26日」に1年分まとめて拠出するのが験担ぎ(?)的には良いかもしれませんね。※iDeCoだと26日が拠出日となるのは固定らしいです。

なお「年払い形式ではドルコスト平均法の恩恵を受けられない」といった意見もありますが、ドルコスト平均法は戦略としてはべつに有利でも不利でもないので気にすることはないです。

ロジカル投資家勢の人であれば「ドルコスト平均法はまやかしであり、理論的には一括投資の方が有利である」と言い切るかもしれません。ただ昨今の相場のボラティリティの高さを見るに、私はそこまでは言いません。

30年の長期運用が前提となるiDeCoでは、月払い・年払いのいずれを選ぶかによるパフォーマンス差は軽微であると考えます。

4.特別法人税の復活リスク

現在凍結中の「特別法人税」が復活すると、iDeCoの運用資産全体に年率1.173%というとんでもない課税徴収が発生します。

NISAをやっている金融庁は信用できるけど、iDeCoをやっている厚生労働省のことは信用ならんと警戒する人は少なくないです。

個人的な所感では、特別法人税の復活の可能性は限りなく低いと見立てています。

というのも特別法人税を復活させると、当然ながら誰もiDeCoをやらなくなり、すでにiDeCoをやっている人も(運用資産全体に課税されるため)拠出を止めてしまいます。

「年金制度は心もとないから老後はiDeCoで備えてね」という制度趣旨が維持される前提においては、特別法人税を復活させる理由が皆無です。

また、iDeCo加入者が60歳前に死亡した場合、遺族が5年以内に申請をしないか、相続人自体がいない場合はその運用資産は国庫に帰属します。

国としてもiDeCo加入者をたくさん増やして資産運用してもらった方が得(?)なので、iDeCoに水を差すようなことはしないのではないかなと思います。

どちらかといえば「退職所得控除の改悪」の方がありそうで怖いです。

(退職所得控除額)

勤続年数(=A) 退職所得控除額
20年以下 40万円 × A
(80万円に満たない場合には、80万円)
20年超 800万円 + 70万円 × (A – 20年)

例えばなんですが、退職所得控除は現在上のような形で、勤続年数20年超の方が優遇されています。

iDeCoに30年間拠出した場合、勤続年数20年超の計算式が適用され、控除額は1500万円となります。

しかし「終身雇用の時代はもう終わったし、時代にそぐわないから勤続年数20年超のプランはもういらないよね」といったロジックを通されて、これが撤廃されてしまうと、控除額は1500万円 → 1200万円に減ってしまいます。

このレベルの控除改悪は十分に現実的かなと思います。

私はまだiDeCoに加入するかどうかの決心がつかず、迷っています。

老後に備えるだけならば「つみたてNISA」だけでも十分に役割を担えるので、何かしらの不安を抱くくらいであれば心理的効用を考えて無理にiDeCoをやる必要もないかなと。

ただiDeCoのあまり語られないメリットである「手数料&課税なしで資産をスイッチング(株ファンドからゴールド・債券ファンドに乗り換えるなど)ができること、リバランスができること」は魅力的に感じています。

iDeCoを使えば課税や手数料を回避して、アセットアロケーション全体の微調整が可能になるというわけです。
(追記)金融機関によっては手数料がかかる場合も。あとファンドに信託財産留保額が設定されている場合はそれが実質手数料となります。

そんなわけで悩ましいのですが、一旦結論を保留にしようと思います。

それでは明日も頑張っていきましょう。たこたこ^~。