ハイイールド社債(HYG・JNK)には原油リスクが常にある

ほえほえ^~、どうも、米国高配当ETF投資家のほえタコです。

日本ではさほど人気はないかもしれませんが、

  • HYG(iシェアーズ iBoxx USD Hイールド社債 ETF)
  • JNK(SPDR BBバークレイズ ハイイールド債券 ETF)

などのハイイールド社債に投資できるETFがあります。分配利回りは5~6%程度と高利回りです。

HYG・JNKの分配再投資込みの過去10年間パフォーマンスでは、AGG(iシェアーズコア米国総合債券市場ETF)をトータルで20%ほどアウトパフォームしています。

しかしボラティリティ(価格変動リスク)は高く、リーマンショック時には-30%以上取引値を暴落させています。

信用格付けが低く、元本割れリスクの高い社債が集まっているのがHYGとJNKの特徴です。

とはいえ19年1月現在、HYGは969社、JNKは807社に分散投資されています。

「いくら格付けの低いジャンク債といえども、これだけ広く分散させておけば1社や2社潰れたところでさしたる影響はないだろう」

と考えたくなるところですが、何かの要因が引き金となってたくさんの企業が連鎖倒産するような事態が起こった場合、ハイイールド市場が受けるダメージは非常に大きいであろう点に留意が必要です。

で、《何かの要因が引き金となってたくさんの企業が連鎖倒産するような事態》としてひとつ考えられるのが原油リスクです。

米国ハイ・イールド債券指数のおよそ15%はエネルギーセクターです。業種別では最大割合であり、それゆえにハイイールド市場は原油価格の動向に影響を受けやすい性質があります。

それでアメリカのエネルギーセクター企業と言えばシェールガスの採掘をやっている企業が多いわけですが、わりとよく倒産しています。2015~2017年の2年間だけでも120社以上の米国シェールガス関連企業が破産しました。

かつてサウジアラビアがアメリカのシェール潰しのために原油暴落を仕掛けたように、エネルギーセクターは一企業や一国家の努力でどうこうできる市場ではなく、相場にめちゃくちゃ振り回されやすいです。

シェール革命はアメリカをエネルギー大国に一変させたものの、多くの潜在的リスクを抱えています。

  1. 水不足
    シェールガスは採掘に大量の水を使い、採掘コストのおよそ15%が水代です。周辺地域の干ばつと水不足が懸念されています。
  2. 公害
    シェールガスの廃棄物処理に伴う地域汚染で集団訴訟が起こっています。水圧粉砕・水平掘削に伴う騒音・振動、また大気汚染、地下水汚染、光害等の公害に地域の人たちは強く抗議しています。
  3. 地球温暖化への影響
    シェールガスは温室効果ガス削減に役立つと考えられていたものの、むしろ石油や天然ガスよりも温室効果が強いのではという反論が出ており、実際の影響レベルは未知数です。
  4. 地震の誘発
    オクラホマ州やテキサス州ではシェールガス採掘が原因と見られる誘発地震が多発しており、事業者が訴えられています。

これらのリスクが無視できないレベルまで達すれば法改正によるシェールガス採掘規制がかかるでしょうし、事業者の多くが破綻に追い込まれるでしょう。

もしアメリカで大地震が発生した等の臨時ニュースを受け取った際は、地域を確認したうえでHYGやJNKの可及的速やかな売却判断を下す必要性が出てきそうです。

ジャンク債市場は《流動性リスク》も懸念に挙がります。

リーマンショック以降、米国社債市場の出来高は減少傾向にあり、つまり流動性リスクが年々高まっています。一方で投資信託やETFによる社債保有比率は増加傾向にあります。

つまり、

  1. シェール企業が連鎖倒産する
  2. 不安に感じた投資家が一斉にハイイールド債の投信やETFを解約する
  3. 売りが多すぎて買い手がつかなくなる
  4. 第二のサブプライムローン危機発生!!

みたいな事態が発生する可能性はあるわけです。

ハイイールド市場におけるシェールオイルリスクは3年以上前から言われていることで、HYGやJNKにこれから投資しようとする人はこうしたリスクを知っておく必要があります。

HYGやJNKは米国株式市場との相関が0.7以上あり、AGGが0.03であるのと比較すると、マーケットの影響をとても受けやすいです。

債券としての分散効果はあまり見込めずリスクも高いことから、あくまで個人的見解を述べるとHYGやJNKには魅力が感じられません。

高い利回りの債券ETFにはそれだけ注意したいということですね。

それでは明日も頑張っていきましょう。たこたこ^~