ほえほえ^~、どうも、迷走中投資家のほえタコです。
私は2018年頃からHDV(iシェアーズコア米国高配当株ETF)という高配当クオリティバリュー株で構成されるスマートベータETFをポートフォリオの大半にして資産を運用してきました。
(図:Backtest Portfolio 青線:S&P500/赤線:HDV)
しかしご覧のとおり、HDVは設定来の2012年から2020年にかけてS&P500にパフォーマンスで負け続けています。
過去9年間のうち、HDVの年間パフォーマンスが市場平均に打ち勝ったのは2016年と2018年の2回のみでした。
今回振り返ってみて私に反省すべき点があったとすれば、それはHDVに投資したことや、高配当バリュー株投資にベットしたことや、S&P500を買わなかったことではありません。
心理的効用を最大化させる投資を心がけるうえで「自分の読みが外れて、自分の抱えるポートフォリオが最も裏目に出るシナリオ」換言すれば、「自分が敗北する未来」を想定し、その敗北に備えて保険を掛けておかなかったことです。
S&P500を基準として考えた場合、HDV全力ポートフォリオが裏目に出るケースは概ね次の2つが考えられます。
- 産業構造の変化により『ハイテクグロース株』が『オールドエコノミーバリュー株』を長期間にわたってアウトパフォームし続ける
- 何らかの要因により『オールドエコノミーの高配当バリュー株』のみが狙い撃ちにされるような経済的危機が訪れる
そしてご存知のとおり、新型コロナ危機を経て、上記2つの敗北シナリオは現実のものとなりつつあります。
もっとも敗北パターンは何通りも考えられるため
- 米国株がオワコンになって新興国株の時代がやってくる!
- 株そのものがオワコンになってゴールドの時代がやってくる!
- 円高ドル安が急加速しドル建て資産の価値が大きく毀損される!
などなど、いくらでも悪いシナリオが想定されます。
何にせよ、自分が負ける可能性を考慮して、自分の大部分を賭ける投資戦略とは「正反対の」投資戦略にある種の保険として賭けておくのは有効かもしれません。いわゆるバーベル戦略と呼ばれるものです。
例えば新型コロナによる暴落相場が発生する直前の1月~2月頃、SPXLやTECLといったレバレッジ型のETFにフルインベストメントする投資家がかなり多く見られました。
暴落を受けてこれらのレバレッジETFに資金を投じていた人は少なからず撤退・大敗を余儀なくされたわけですが「自分が負ける可能性」をきちんと考慮して投資戦略を組んでいれば、結果は違っていたでしょう。
SPXLやTECLに大部分をベットする一方で、一部は「恐怖指数(VIX)のロング」や「プットオプションの買い」ポジションを持っておき、暴落時の保険としておく。あるいは株式と逆相関の動きとなることが多い債券のレバレッジETFをポートフォリオとして加えておくべきでした。
これも「タラレバ理論」には過ぎないのですが、HDVをポートフォリオのメインとする場合は、ハイテクバブルに備えてTECL(Direxionデイリーテック株ブル3倍ETF)を保険として持っておくのは有効でした。
逆に、バブルに対するヘッジ(保険)としてレバレッジETFを保有するのはありかもしれませんね。NASDAQ指数が5年で6倍に上昇した1995~2000年の期間にもしTQQQやTECLのような商品が存在したら、そこから得られる利益はとんでもない額になっていたことでしょう。バブルを恐れるからこそのレバレッジ戦略
— ほえタコ (@HoeTako) June 28, 2020
例えば、2012年にHDVをコアとする投資戦略を策定したとしましょう。
2012年の投資時点で私はこのように考えているとします。
でも
と考えた場合、結果はこうなります。
(図:Backtest Portfolio 青線:S&P500/赤線:HDV 96%:TECL 4%/黄線:HDV)
HDVの分配金相当であるたった4%分のTECLをポートフォリオに加えただけで、パフォーマンスが劇的に改善しています。(なおリバランスは無しです)
「HDV 96%:TECL 4%」のポートフォリオはコロナ前に至ってはS&P500をアウトパフォームしており、これからハイテクバブルが到来するのであれば、今後もそうなるでしょう。
TECL自体はボラティリティがあまりに高く、少なからぬ投資家がそのボラティリティにやられてしまいました。
しかしHDVの分配金の分だけをTECLに投じるのであれば、TECLがどれだけアップダウンしようと減価しようと暴落しようと、心は平穏そのものです。
ただ、上記の戦略がこれから先もうまくワークする!と考えるのも、それはそれで自己過信であり傲慢なのでしょう。
投資戦略が明確に定まるということはなくて、気温のゆるやかな勾配、あるいは影の濃淡のあるなかで、こっちの方がより自分にとって居心地が良いかな、と確かめるように少しずつ理想のポートフォリオに移動していく――今の私はそんな感じです。あえて白黒をはっきり決めないようにしています。
— ほえタコ (@HoeTako) June 27, 2020
投資戦略にはさまざまなものがあります。しかし、「これが絶対に正しい!」「これが正義である!」みたいな絶対正義はありません。
米国株クラスタでは《ハイテクグロース株戦略》 vs 《オールドエコノミー高配当株戦略》の派閥争いが日夜繰り広げられていますが、どちらの投資戦略に賭けるとしても、つねに「自分が負けるシナリオ」を想定し、備えておきたいです。
例えば私がVGTやQQQを通じて、ハイテクグロース株の未来に賭けるのであれば、
- ハイテクバブル相場の崩壊
- 米国ハイテク企業が中国などの他国ハイテク企業との争いに負ける可能性
- GAFAM規制による低迷
あたりをBAD ENDシナリオとして警戒します。
今はVIX(恐怖指数)も高いままなのでヘッジのかけ方が難しいのですが、明らかにミスプライスなIT株のショートポジションを持っておく(……のもしかし、Teslaで多くのショーターが踏み上げられたことを思うとリスクが高い)か、掛け捨て保険でプットオプションを定期的に買い付けるか……。
あとはアリババやテンセントといった、米ハイテク企業と競合する会社の株も一部買っておく。
テクニカル重視なら、債券ETFとQQQとを組み合わせて、QQQの移動平均線の状態に応じてQQQの保有割合を動的に変えてゆく。
など、さまざまな戦略が考えられます。
投資戦略を考えるうえで「正しい」「間違っている」「勝つ」「負ける」など未来を断定するのではなく、自分が「正しいと思っている投資戦略」でも負ける可能性を、「間違っていると思っている投資戦略」でも勝つ可能性を考慮して、柔軟で弾力性のあるポートフォリオを構築していきたいと考える今日この頃です。
それでは明日も頑張っていきましょう。たこたこ^~