ほえほえ^~、どうも、HDV(iシェアーズコア米国高配当株ETF)をポートフォリオの100%にしている、ほえタコです。
高配当株を集めたHDVへの投資は少なくともグロース株投資ではないことははっきりしています。とはいえ、バリュー株投資にあたるかは「微妙だ・判断が難しい」と私は感じています。
HDVは「モーニングスター配当フォーカス指数」に連動するETFです。
そのモーニングスター社は、自社の独自基準(Morningstar Style Box)においてHDVを「超大型株(Giant)× コア・バリュー(Core Value)」にカテゴライズしています。
HDVの指数を作っているモーニングスター社自身が「HDVはバリューだ!!」と言っているのだから、それはもちろんバリュー寄りのETFで結論は出ていますが、もうちょっとぐだぐだと考えてみます。
実績PERではS&P500よりもHDVの方が割高!?
株式の割安度を判断する指標としてPER(株価収益率)なるものがあります。株式の集合体たるETFであっても、保有比率に応じた平均値を取ることでPERを算出することは可能です。
iShares by BlackRock 公式サイト(https://www.ishares.com/us)では自社取り扱いのHDVやIVV等の「実績PER」が公開されています。P/E Ratioの項目が実績PERです。
日本でPERというと「予想PER」の方が好まれます。
PERは「時価総額÷純利益」(=株価÷1株あたり利益)で算出されますが、ここで問題となるのが「利益ってどの時点の利益なのさ?」ということです。
実績PERが《直近会計年度の利益》を使って算出されるのに対し、予想PERは《来期の予想利益》で算出されます。
したがって会社やアナリストの業績予想が甘々だと、予想PERは役に立たなくなってしまいます。しかし『株価は未来の業績を織り込む』観点から、予想PERの方が指標として役立つと唱える人は多いです。一方、米国だと実績PERがスタンダードです。
話が脱線しました。
2019年1月3日時点のHDV(iシェアーズコア米国高配当株ETF)とIVV(iシェアーズ S&P 500 ETF)の実績PERは次のとおりです。
- HDV:21.12
- IVV:20.43
えっ、こんなに高いの? ていうかなんでIVV(S&P500)よりもHDVの方が割高なの!?と驚かれるかもしれませんが、順を追って説明します。
まず、上記においてPERの算出に使われるのは直近会計年度ですから具体的には「2017年10月1日〜2018年9月30日」の期間に確定した当期純利益が分母となるはずです。
成長企業であれば、当期の実績PERよりも来期の業績が織り込まれた予想PERの方が低く(割安に)なります。ゆえに実績PERは高めに見積もられる傾向があります。
ただ、それをふまえてもHDVがPER 21倍を超えるのは高すぎますね。
考えうる事情は、米国の税制改革の影響を受け(?)HDVの上位構成銘柄のPERが異常に高くなっている、というもの。憶測ではあるものの、おそらくはこの一時的な問題によるものではと読んでいます。
具体例を挙げると
ティッカー | 銘柄名 | HDV保有比率(%) | 実績PER | 予想PER |
---|---|---|---|---|
JNJ | JOHNSON & JOHNSON | 6.52 | 255.66 | 15.41 |
KO | COCA-COLA | 4.43 | 73.18 | 22.42 |
CSCO | CISCO SYSTEMS INC | 4.18 | 119.22 | 15.21 |
PEP | PEPSICO INC | 3.8 | 31.84 | 19.16 |
MRK | MERCK & CO INC | 3.76 | 58.22 | 17.06 |
BMY | BRISTOL MYERS SQUIBB | 1.99 | 53.28 | 11.63 |
HDV全体のおよそ24.68%を占める上位構成銘柄の実績PERが異常な値をつけているのが分かります。これらの企業はS&P500にも入っていますが、保有比率で考えるとHDVへの影響の方が圧倒的に大きいです。
断言はできませんが、実績PERにおいてHDVがIVV(S&P500)よりも割高になっている原因はこれじゃないかと推測しています。
すなわち税制改革に伴う会計処理上の、一時的なバグのようなものです。
平常時であれば、PER 27倍を超える銘柄がHDVに組み込まれる事態はまず考えられません。
なぜならば、HDVの分配利回りは3.7%前後だからです。
PER 27倍を益回り換算に直すと3.7%になります。(※100/27=3.7)
PER 27倍超の企業が配当利回り3.7%を実現するとなれば「純利益を上回る配当金を出して自社資産を食いつぶしているヤバイ会社じゃん! タコ足配当じゃん!」となってしまいます。
そんなヤバイ会社はHDVの選定基準であるデフォルト懸念スコアで弾かれます。今回のような特別な事情を除いて、高PER企業が高配当ETFに入るケースは考えづらいです。
予想PERはどうなっているのか?
IVVとHDVの予想PERはモーニングスター公式サイト(https://www.morningstar.com/)で調べることができます。
2019年1月3日時点のHDV(iシェアーズコア米国高配当株ETF)とIVV(iシェアーズ S&P 500 ETF)の予想PERは次のとおりです。
- HDV:13.33
- IVV:14.32
来期の業績予想が楽観的かどうかはさておいて、たしかにこの値ならば納得が行きますね……行きま……(いや、予想PERとはいえこんなに低いのだろうか……)
例えばHDVであればモーニングスター社の銘柄詳細ページ(iShares Core High Dividend ETF Report (HDV) | Asset Allocation Summary)の下の方に《Price/Prospective Earnings》という項目があり、これが予想PERに該当します。
あくまでモーニングスター社の業績予想に基づき算出されるものですから、どの程度参考になるものかは分かりません。
ただ、予想PERであれば、S&P500よりもHDVの方がバリュー株の割合が多いよー!くらいのことは言えそうです。
HDVはPERによってはバリュー度を測れない?
さておき根本的な問題として、HDVをPER指標で考えるのは無意味なのでは?という話があります。
HDVは売買回転率が高く、年4回も構成銘柄の入れ替えが行われます。
すなわち「企業の純利益をもとに株価の割安度を計算するって言っても、そもそも今期と来期じゃ構成銘柄が変わってるじゃん!」とツッコミが入るわけです。少なくとも予想PERの方は使えそうにありません。
それに加えて、HDVはエネルギーセクターの保有比率が20%超もあります。構成保有比率のトップは、あのエクソンモービル(XOM)です。
エネルギーセクターは原油価格の動向に業績が大きな影響を受け、将来の業績を予測しづらいです。また、年度ごとの純利益の変動も大きいです。ことエネルギーセクターにおいては、PERが指標として役立たないとはよく言われる話です。
さらに風呂敷を広げれば、HDVのPER値を求めたとして、何を比較対象とするのかの問題もあります。
同じ高配当ETFであるVYM(バンガード米国高配当株式ETF)やSPYD(SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF)と比べるにしても、セクター比率が違いすぎて判断が難しい。SPYDに至っては不動産(REIT)じゃん!という話になってきます。
結論としては煮え切らない感じで申し訳ないのですが、実績PERや予想PERを使いこなすのはなかなか難しい。ましてやETFの投資判断に活用するのはもっと難しい、が今回のまとめとなります。
それでは明日も頑張っていきましょう。たこたこ^~