HDVは意外と「金融セクター」の企業が多い

ほえほえ^~、どうもHDV愛好家のほえタコです。

さて、おなじみのHDV(iシェアーズコア米国高配当株ETF)ですが、構成銘柄は記事執筆時点で75銘柄。セクター保有比率は「エネルギー・生活必需品・ヘルスケア」が多くを占めます。

HDVのセクター別 保有割合

エネルギー21.15 (%)
生活必需品21.13
ヘルスケア21.1
公益事業8.22
通信7.84
資本財・サービス6.79
情報技術5.35
一般消費財・サービス4.77
金融2.29
素材0.87

HDVのセクター別 構成銘柄数

たしかに保有比率はエネルギー・生活必需品・ヘルスケアが多いのですが、「構成銘柄数」に着目すると驚くべきことに金融セクターが一番多いです。

エネルギー7社
生活必需品8社
ヘルスケア5社
公益事業15社
通信1社
資本財・サービス9社
情報技術3社
一般消費財・サービス8社
金融16社
素材3社

(計:75社)

これが何を意味するかというと、HDVの構成セクターのうちたったの2.29%しか占めていない「金融セクター」が16銘柄と最も分散投資されている、ということですね。

分散されている分だけ金融セクターにおけるリスクを軽減できているとも考えられ、悪いことではないです。

HDVの金融セクターには有名なあの企業が入っていない

HDVに入っている金融セクター企業は、日本人にとってはマイナーどころが多いです。

たとえばバンガード 米国高配当株式ETF(VYM)の上位構成銘柄であるJPモルガン チェース(JPM)ウェルズ ファーゴ(WFC) は高配当であるにもかかわらずHDVには含まれません。

HDV(のベンチマークであるモーニングスター配当フォーカス指数)に組み入れられるためには

  1. エコノミック・モート評価
  2. デフォルト懸念スコア
  3. 配当利回り

の3基準を満たす必要があり、JPMやWFCはエコノミック・モートかデフォルト懸念スコアのどちらかで弾かれているようです。

保険代理業に強みを持つBB&T

ではHDVにはどんな金融セクター企業が入っているのでしょうか。

HDV金融セクターのなかで保有比率トップを占める(といっても全体のたった0.89%です)のが、BB&T(BBT) です。

たぶんほとんどの方が知らないと思います。なんせ資産総額ランキングでは全米16位の銀行ですから、メガバンクといえどもJPモルガン チェース(1位)・バンク オブ アメリカ(2位)・ウェルズ・ファーゴ(4位)と比べると知名度は低い。

日本の銀行で総資産ランキング16位といえば「新生銀行」あたりの位置付けですね。

とはいえBB&TはHDVに組み入れられている以上、エコノミック・モート(競合他社に対して優位に立てる経済上の堀)を持っています。

BB&Tが圧倒的な強みを持っているのは「保険ブローカー(保険仲介ビジネス)」です。BB&Tは保険ブローカーとしては世界で5番目に規模が大きいです。過去に小さな保険代理店を買収しまくって高成長を遂げました。

個人向けの傷害保険・生命保険・自動車保険・住宅保険・ペット保険…etc から、企業向けの賠償責任保険・労働者災害補償保険まで幅広く取り扱っています。

銀行における売上高は、資産運用や融資によって得られる「純金利収入」と、送金手数料・信託報酬・カード決済手数料等の「非金利収入」とに分けられます。

銀行の本来的業務から得られる純金利収入はしかし、長期金利の動向や貸出需要の影響をモロに受けます。低金利環境下では、純金利収入が落ち込みます。

対して非金利収入は、その名前から察せるとおり金利変動の影響を受けません。売上高のうち非金利収入の占める割合は多くの主要銀行で年々高まっており、BB&Tでは4割強が非金利収入です。

さらにBB&Tではその非金利収入の3分の1以上を「保険販売収入」が占めています。これは非常に高い比率であり、銀行としての確かな強みです。

いまや多くの銀行が事業の多角化(金利に頼らない収益源確保)に熱心ですが、BB&Tはそのなかでも「保険代理業」の分野で成功した企業であるということですね。

とはいえ銀行である以上、金融危機には弱いです。リーマンショック時はBB&Tも最大下落率 -58.22%と大きなダメージを受けました。もっとも金融セクター平均の最大下落率は-78.68%であるため、平均よりかはこれでも大分マシです。

その他のHDV保有金融セクター企業

記事が長くなってきたのであとはサクッと行きましょう。

HDV保有金融セクターの二番手はシンシナティ ファイナンシャル(CINF) です。(保有比率0.25%)

ここは銀行ではなくて保険会社です。米国市場シェア20番目の保険会社ということで、今ひとつパッとしない印象ですね。

とはいえ、CINFは米国の高配当株投資家のなかでは有名な銘柄で、50年連続増配の記録を持っています。リーマンショック時、CINFの株価は半値まで落とされてしまいましたが、それでも減配はしませんでした。

2009年に金融セクター平均では配当が前年比3分の1にまで落ち込んだのに、CINFは(ほんの僅かですが)増配に踏み切っている凄まじさです。よほど堅実なバランスシートを持っていなければ、ここまで増配を続けることはできません。

三番手のフランクリン リソーシズ(BEN) は世界最大級の資産運用グループです。(保有比率0.22%)

個人投資家・機関投資家向けの資産管理サービスを提供しています。

あと日本の証券会社では買えないでしょうが、ETFも販売しています。「FRANKLIN LIBERTYSHARES ETF」というブランドで、それこそHDVのようなスマートベータ系ETFもありますし、面白いところではアクティブ運用系のETFを取り扱っています。

例えば「Franklin Liberty International Opportunities ETF(FLIO)」という同社のETFでは、米国以外の先進国・新興国企業にアクティブに投資・運用しています。つまりはアクティブファンドのETFなのですが、経費率は0.60%と(日本のアクティブ投信と比べると)安いですね。

バンガード社やステート・ストリート社のETF経費率値下げ合戦を見ても分かるとおり、資産運用業界は価格競争が激しいです。そのあたりが同社の利益圧迫懸念でもあります。

まったく余談ですが、フランクリンアクティブETF(FLIO)は国別投資割合では日本が14.69%と最上位です。

投資先の日本企業は具体的に、

  • JXTGホールディングス (5020)
  • 本田技研工業 (7267)
  • デンソー (6902)
  • 日本電産 (6594)
  • ソフトバンクグループ (9984)

あたりが入っています。

私は日本株のトレードはほとんどしませんが、こういう海外のアクティブファンドの保有銘柄からアイデアを得るのも面白そうですね。

ちなみにFLIOの全保有銘柄が知りたい方は(https://www.libertyshares.com/franklin-international-opportunities-etf/)からEXCELデータをダウンロードできます。

ETF投資であれば個別銘柄を知っておく必要はないが……

HDVは(18年12月現在)75銘柄によって構成されるETFで、金融セクターの割合は2.29%しかない。

ゆえに、個人投資家がその保有個別銘柄(BBT,CINF,BEN…etc)を知っておく必要があるかというと、じつはまったくその必要はないわけです。銘柄入替えによってHDVの構成銘柄も毎年変わってしまうわけですし。

ただ、構成銘柄が75程度であれば、これらの企業の情報をざっくりと知っておくことで、HDVのコンセプトはなんとなく掴むことができます。

今回取り上げた金融セクターは、HDVの選定基準であるエコノミック・モート(経済的な堀)を獲得しづらい分野です。競争が激しいですし、リーマン・ブラザーズのような巨大証券会社だって倒産してしまいますし、コカ・コーラとは違って遠い未来がどうなっているか予測しづらい世界です。

そのなかでHDVに入っている金融セクター銘柄は、独自の強みを持った事業を展開しており、かつ財務健全で安定した配当を継続している企業である(らしい)ことが感じられます。

HDVの構成銘柄リストはブラックロック社の公式ページ

https://www.blackrock.com/jp/individual/ja/products/239563/ishares-core-high-dividend-etf)で見ることができます。

暇なときに眺めてみると面白いですし、保有ETF(私の場合はポートフォリオの100%がHDVです)に対する愛着みたいなものが湧いてきます。

おまけ:HDV組み入れ金融セクター企業一覧(18年12月時点)

ティッカー銘柄名保有比率(%)
BBTBB AND T CORP0.89
CINFCINCINNATI FINANCIAL CORP0.25
BENFRANKLIN RESOURCES INC0.22
FNFFIDELITY NATIONAL FINANCIAL INC0.21
FAFFIRST AMERICAN FINANCIAL CORP0.1
FIIFEDERATED INVESTORS INC CLASS B0.08
LMLEGG MASON INC0.08
BOHBANK OF HAWAII CORP.0.07
MCYMERCURY GENERAL CORP0.06
WDRWADDELL AND REED FINANCIAL INC CLA0.06
ERIEERIE INDEMNITY CLASS A0.05
NWBINORTHWEST BANCSHARES INC0.05
MCMOELIS CLASS A0.05
TFSLTFS FINANCIAL CORP0.03
BSIGBRIGHTSPHERE INVESTMENT GROUP PLC0.02
CNSCOHEN & STEERS INC0.02

※計16社

それでは明日も頑張っていきましょう。たこたこ^~