【検証】HDVの銘柄入れ替え戦略が「大失敗」している可能性

ほえほえ^~、どうも、ほえタコです。

私は現在、HDV(iシェアーズコア米国高配当株ETF)がポートフォリオの過半数を占めており、市場平均に負けているどころか絶賛含み損中です。

HDVをぜんぶ損切りして個別株トレーダーに転向しようかなとさえ悩んでいる今日この頃ですが、ポートフォリオに大きな変更を加える際には、必ずその明確な根拠が必要となります。(でないとあとあと後悔します)

HDVの短所として最も多く語られるのが「売買回転率の高さ」です。HDVの売買回転率は、記事執筆時点で 62% であり、これは米国株ETFのうちレバレッジをかけていないもののなかでは、堂々の第一位です。

参考までに、米国株の市場平均に投資する VTI(バンガードトータルストックマーケットETF)の売買回転率は 4% です。

いかにHDVがコロコロと構成銘柄の入れ替えを行っているのかがよく分かります。HDVは3ヶ月に1回の高頻度で銘柄入れ替えを行う(それも10銘柄以上を追加したり除外したりする)ため、売買回転率が非常に高くなっています。

さて、売買回転率の高いETFはダメだ!とする論拠のひとつに「ファンドの銘柄入れ替え時に発生するコストがパフォーマンスを押し下げるから」とするものがあります。

しかしHDVに限って言えば、私はこのデメリットを否定します。

何故なら、HDVの元となる指数である『Morningstar Dividend Yield Focus IndexSM』とHDVとでは、5年間運用でパフォーマンス乖離が 0.1% しか発生していないからです。

トラッキングエラー(ポートフォリオのリターンとベンチマークのリターンの差)は見られず、銘柄入れ替えに伴うコストが与える影響はほぼ無視して良いと考えます。

次に論点として挙がるのが「そもそも銘柄入れ替えすること自体がパフォーマンスを押し下げている」というものです。

高配当ETFであるHDVには「株価が上がって配当利回りの落ちた銘柄を除外し、反対に株価の下がって配当利回りの高まった銘柄を追加する」強力な逆張りロジックが働いています。

株で勝つための掟としてよく知られる「損小利大」ですが、高配当系スマートベータは損小利大の《逆》、すなわち「損大利小」をやってしまう可能性のあることがしばしば非難対象に挙がります。

株価の上がっている銘柄を(配当利回りが落ちたからという理由で)すぐに手放してしまい、逆に落ちてくるナイフのように株価下落している銘柄を(配当利回りが上がったからという理由で)逆張りで買い増してしまう。

初心者トレーダーのよくやってしまう「損大利小の逆張りナンピン」がロジックに組み入れられているんだ!として、グロース株派の人たちは《思考停止無限ナンピン》などと高配当ETFを愚弄したりしていますが、悔しいかな、一理あります。

無論、HDVは 「ビジネス競合優位性・財務健全性」等でスクリーニングをかけて銘柄を選定していますから、《思考停止》の部分はあたりません。

さて、HDVの銘柄入れ替えが功を奏したのかどうか判定するために、18年12月の入れ替え時に除外された銘柄のその後を追ってみましょう。

18年12月にHDVが除外したのは、下記の11銘柄です。

ティッカー銘柄名旧保有比率(%)業種
MCDMCDONALDS CORP2.64一般消費財・サービス
LLYELI LILLY1.76ヘルスケア
VLOVALERO ENERGY CORP0.69エネルギー
KARKAR AUCTION SERVICES INC0.12資本財・サービス
FAFFIRST AMERICAN FINANCIAL CORP0.1金融
IDAIDACORP INC0.09公益事業
FHIFEDERATED INVESTORS INC0.08金融
SCCOSOUTHERN COPPER CORP0.08素材
LMLEGG MASON INC0.08金融
WDRWADDELL AND REED FINANCIAL INC CLA0.06金融
BSIGBRIGHTSPHERE INVESTMENT GROUP PLC0.02金融

そしてこの11銘柄の2019年、および2020年(1月~記事執筆時点の9月まで)の配当込みリターンは次のとおりです。

ティッカー2019年リターン2020年リターンCAGR
MCD13.97%-0.39%8.34%
LLY16.15%15.48%20.38%
VLO30.36%-38.25%-12.81%
KAR24.25%-29.53%-8.05%
FAF34.61%-11.21%11.92%
IDA17.69%-11.50%2.60%
FHI27.06%-17.53%2.99%
SCCO46.64%4.81%31.19%
LM47.32%41.57%59.08%
WDR-1.83%-8.09%-6.28%
BSIG-0.87%33.86%19.56%
HDV20.23%-13.07%2.83%

19年と20年合算のCAGR(年平均成長率)で見てみると、HDVが手放した11銘柄のうち、HDVのパフォーマンスを上回っているものは7銘柄。

うち、SCCO(SOUTHERN COPPER CORP)は年平均 31.19% 、 LM(LEGG MASON INC)は年平均 59.08% と驚異的なリターンを獲得しています。

HDVはとんでもないお宝銘柄を手放してしまったことを意味します。

逆に、HDVのパフォーマンスを下回ったのは11銘柄中、赤字をつけた部分の4銘柄です。

見えづらいですが、右端の緑色の棒がHDVです。株価の上昇局面では、除外銘柄の多くがHDVのパフォーマンスを上回っています。

ソース元の portfoliovisualizer.com から詳細をご確認いただけます。

上図の青線は、除外された11種の均等加重ポートフォリオです。赤線がHDVです。

これを見ても明らかなとおり、18年12月のHDVの銘柄除外は、みすみすリターンを取り逃すような結果となっており、失敗であると言えそうです。

次に、18年12月の「追加銘柄」の方も見てみましょう。除外された11銘柄の代わりに、下記の11銘柄がHDVには組み入れられました。

ティッカー銘柄名旧保有比率(%)業種
AVGOBROADCOM INC2.22情報技術
LMTLOCKHEED MARTIN CORP1.51資本財・サービス
EXCEXELON CORP1公益事業
ITWILLINOIS TOOL INC0.91資本財・サービス
HBANHUNTINGTON BANCSHARES INC0.43金融
CMACOMERICA INC0.28金融
PNWPINNACLE WEST CORP0.24公益事業
ALVAUTOLIV INC0.15一般消費財・サービス
EVEATON VANCE COM NON VOTING CORP0.12金融
APAMARTISAN PARTNERS ASSET MANAGEMENT0.09金融
PFSPROVIDENT FINANCIAL SERVICES INC0.04金融

そしてこの追加11銘柄の2019年、および2020年(1月~記事執筆時点の9月まで)の配当込みリターンは次のとおりです。

ティッカー2019年リターン2020年リターンCAGR
AVGO29.11%3.02%19.74%
LMT52.53%-1.44%29.37%
EXC4.28%-13.75%-6.48%
ITW45.59%4.41%30.28%
HBAN31.74%-36.51%-10.67%
CMA8.42%-44.32%-27.29%
PNW9.03%-5.01%2.24%
ALV24.38%-22.34%-2.16%
EV37.23%-20.37%5.76%
APAM66.53%18.67%53.76%
PFS6.75%-42.94%-26.88%
HDV20.23%-13.07%2.83%

HDVに追加された11銘柄のうち、HDVのCAGR(年平均成長率)を下回っているのは6銘柄でした。

CMA(COMERICA INC)の-27.29%やPFS(PROVIDENT FINANCIAL SERVICES INC)の -26.88%など、コロナショックのせいとはいえ手痛い損失です。

一方でHDVに追加されたうち5銘柄は、HDVのCAGRを上回りました。AVGO(BROADCOM INC)、LMT(LOCKHEED MARTIN CORP)、APAM(ARTISAN PARTNERS ASSET MANAGEMENT)など、良い成長を見せています。

青線:除外銘柄11種均等加重 / 黄線:追加銘柄11種均等加重赤線:HDV

※ソース:portfoliovisualizer.com

上図を見てみると、「除外11種PF」が「追加11種PF」のパフォーマンスを上回っており、結果としてHDVの銘柄入れ替えがパフォーマンスを押し下げたことを示してくれます。

しかしながら、「追加11種PF」もわずかですがHDVのパフォーマンスを上回っています。

「良かった。HDVに追加された銘柄がパフォーマンスにマイナス寄与したわけでは無いんだな」と言いたいところですが、ここで悪いお知らせがあります。

HDVに追加された11種のうち、HDVのCAGRを上回った5銘柄(AVGO / LMT / ITW / EV / APAM)のうち、2020年9月26日現在、HDVに組み込まれているのはEVの1つだけです。

残りの4銘柄はどこへ行ったかって?

そう、除外されてしまったのです……。

せっかく素晴らしいパフォーマンスを出してくれる優良銘柄を追加したにもかかわらず、(AVGO / LMT / ITW  / APAM)の4種は株価がそこそこに上がったタイミングでHDVから除外されてしまい、おそらくその恩恵を受けられていません。

もう少し検証してみないと断定はできません。

しかし直近2年間の動向を見る限り、HDVの銘柄入れ替え戦略は失敗している可能性が高い、と言わざるを得ません。

ホルダーとして悲しいです。こんな記事は書きたくなかった。

でもそれが事実であるのなら、それを受け止めるのはホルダーとしての役目です。

現在のHDV保有上位10種の均等加重PF

T(AT&T)/ XOM(EXXON MOBIL CORP)/ JNJ(JOHNSON & JOHNSON)/ VZ(VERIZON COMMUNICATIONS INC) / CVX(CHEVRON CORP)/ PFE(PFIZER INC)/ KO(COCA-COLA) / MRK(MERCK & CO INC)/ CSCO(CISCO SYSTEMS INC)/ MO(ALTRIA GROUP INC))

とHDVは、長期的に同程度のパフォーマンスであり、その意味においてHDVは(高配当バリュー株の)市場平均インデックスとして、正常にしっかりワークしています。

見づらいですが上の赤太線がHDVで、それ以外の線が現在の「HDV上位10種」のそれぞれのチャートです。

長期的に見てもHDVは大型高配当バリュー株の「平均点」は取っており、そこは心配しなくて良いです。

ただ、「HDVから除外された銘柄はどうなっているか」に視点を移してみると、どうもHDVの銘柄入れ替えの短所が浮き彫りになる気がしてなりません。

私はまだポートフォリオの大部分(50%くらい)がHDVです。

今後の方針について、じっくり考えていこうと思います。

それでは明日も頑張っていきましょう。たこたこ^~!