ほえほえ^~、どうも、ほえタコです。
今日は最近人気の「eMAXIS Neo自動運転」という投資信託の構成銘柄について語ります。
この投信は、2019年5月28日~2021年1月31日現在までの約1年8ヶ月間で、なんと+199.83% の驚異的なリターンをもたらしました。
ほぼほぼ、3倍です。2019年にこの投信を100万円買っていれば、今では約300万円になっています。
投信でここまでの成績を収めるのは素晴らしいです。eMAXIS Neo自動運転に投資した人は大成功でした。
しかしそれは過去から今までの話であり、今から未来もそれが続くとは限りません。自動運転関連銘柄はバブル化しているものが多く、今からそれに乗っかるのは機を逸している感があります。
自動運転市場そのものはこれから先も発展を遂げてゆくものの、バブルの頂点で銘柄を掴んでしまっては大損してしまう――のはITバブルから得られる教訓です。
そこで今回は「自動運転の将来性に賭けたいけれど、すでにバブル化している銘柄は嫌だ!」という場合に、有力候補があるかどうかを探します。
eMAXIS Neo自動運転の構成銘柄
20年12月30日の月間レポートによると、eMAXIS Neo自動運転の構成銘柄10種は次のとおりです。
銘柄名(ティッカー) | 構成比率(%) |
---|---|
テスラ(TSLA) | 7.7 |
アンバレラ(AMBA) | 7.4 |
ビステオン(VC) | 6.5 |
ベオニア(VNE) | 6.3 |
アプティブ(APTV) | 6.2 |
ゼネラル モーターズ(GM) | 5.7 |
フォード モーター(F) | 5.6 |
蔚来汽車( ニオ )(NIO) | 5.5 |
エクスペリ ホールディング(XPER) | 4.8 |
百度(バイドゥ)(BIDU) | 4.3 |
この中から出遅れ銘柄を探していきましょう。
下記は2021年1月31日時点の予想PERとPSRの一覧です。
ティッカー | 予想PER | PSR |
---|---|---|
TSLA | 200 | 28.66 |
AMBA | 196.08 | 14.83 |
VC | 28.65 | 1.42 |
VNE | – | 2.13 |
APTV | 33.44 | 2.84 |
GM | 8.58 | 0.63 |
F | 10.08 | 0.32 |
NIO | – | 32.16 |
XPER | 11.17 | 2.42 |
BIDU | 20.66 | 5.01 |
予想PERが「-」となっているものは、時価総額を純利益で割ることができないもの。すなわち純利益がマイナスの企業です。
大人気沸騰中のニオ(NIO)は現時点では純利益マイナスですが、赤字幅は減少しており売上高も右肩上がりなので、業績成長込みで現在のバリエーションが肯定されています。
時価総額を年間売上高で割ったPSRで比較してみますと、TSLA、AMBA、NIOといったPSRが10倍を超えているものと、GMやFといったPSRが1を割っているものとに分かれます。
テスラ(TSLA)よりもゼネラル モーターズ(GM)の方が割安なんだな!と考えるのは早計で、このPSRの差は業績成長の差から生まれています。
例えばPSR 28.66倍で超割高に見えるTSLAの売上高はこのように推移しています。
素晴らしい右肩上がり成長ですね。
では、PSR 0.63倍で割安に見えるゼネラル モーターズ(GM)はどうでしょう。
ちょっと停滞感がありますね。少なくともグロース株ではないです。
したがって一概に銘柄間のPERやPSRの高低差比較だけでは出遅れ銘柄かどうかを判別できないです。
そこで以下では手っ取り早く現在の株価バリエーションを知るため、PSR推移を見ていきます。PSRが過去最高水準にあれば、それは売上高の成長以上に過大評価感のある時価総額となっていることを意味します。
1.テスラ(TSLA)
あっ、はい。TSLAはバブルだと思います。
そうでなかったとしても、これだけ話題になっているTSLAが出遅れ銘柄となることはあり得ませんので、出遅れ有力銘柄からは除外して差し支えないでしょう。
これ見ると、2018年から2020年3月頃までのTSLAはすごい買い時だったんだなと思います。
当時もTSLAはバブルだの割高だの言われていましたが、自動運転の未来を信じるのであれば最高の買い場でした。
2.アンバレラ(AMBA)
恥ずかしながら今回初めて知った会社です。
アンバレラ(AMBA)は半導体の設計会社で、ドライブレコーダー・フロントADASカメラ・ドライバーとキャビン内の監視システム・電子ミラー・自動駐車アシスト・死角検知・障害物検知・高速道路交通システム…etc 自動運転技術に欠かせない数々のプロダクト向けに半導体の設計開発を行っているようです。
売上高はヨコヨコで成長しているとは言い難いですが、将来の業績成長期待からか株価は高値圏にあり、PSRは過去最高値をつけています。
こちらも「出遅れ銘柄」からは程遠いため、候補から外しましょう。
ちなみに本銘柄はドローン関連銘柄でもあります。GoProのカメラに搭載される画像処理用半導体なども手掛けているようですね。
3.ビステオン(VC)
こちらのビステオン(VC)もTSLAやAMBAと同じく、PSRが過去最高値をつけています。
ただ2者と異なる点は、PSRが1.5倍未満と低いことです。バリュー株からグロース株へと転換する途上にあるのであれば一概にバブル銘柄とは言えませんので、もう少し詳しくみたいです。
ビステオンは自動車部品の大手サプライヤーです。アフターコロナ後の市場回復を考えると、業界自体の見通しはポジティブであり、ビステオンの業績が改善される可能性はそれなりに高いものと考えます。
しかしながらすでに株価は過去最高水準をつけており、PSR推移や売上高推移から見ても「出遅れ」からは程遠く、今回は候補から外れます。
4.ベオニア(VNE)
ベオニア(VNE)は自動運転のためのセーフティ・エレクトロニクス・ソリューションを提供している会社です。公式サイトを見ましたが、「自動運転関連銘柄」という意味では本命だと感じます。
公式YouTubeチャンネルがあり、こちらを見ると何を開発しているのかがわかりやすいです。
めっちゃオシャレなプロモーションビデオで素晴らしいです。これ見てちょっと投資したくなりました。
動画中で紹介されているのは、車道への飛び出し検知、ブレーキ制御、信号検知、夜間の歩行者検知ですね。
売上高は低迷中で、おまけに赤字経営です。しかし株価は直近1年間で高値更新中です。
夢のある銘柄ではあるものの、「出遅れ」とは言い難いので今回は候補から除外します。
5.アプティブ(APTV)
アプティブ(APTV)、株価は上場来高値を更新し、PSRも過去最高値です。
売上高はヨコヨコです。今後の自動運転市場は年平均11%の成長率となる予測が出ていますが、現段階での業績には反映されていないようです。
ここまで挙げた4銘柄と同じく、業績成長以上の期待によって株価が高値を更新しています。
6.ゼネラル モーターズ(GM)
ゼネラル モーターズ(GM)、傘下のクルーズという会社が自動運転車メーカーなんですね。
クルーズの公式動画です。いいですね。
車道を走っている自転車が前方にいれば良い感じに減速してやり過ごし、停車中のトラックが前方にあれば対向車に気をつけて追い越しをする。これらの判断を自動運転でやってくれるのは有り難いです。
マイクロソフトと提携し、Azureも活用して自動運転車の商用化を目指すようです。
GMの株価はすでに上がっており、PSRも過去最高水準ではあるものの、バリエーションとしては決して高くありません。
クルーズが大化けすると見るならば全然、安すぎる水準です。クルーズ社にはかのソフトバンクGも出資していますし。
あとゼネラルモーターズは《空飛ぶクルマ》なるものも開発しているようです。
面白いですね。まぁ普及はしなさそうですが(笑)
ゼネラル モーターズ(GM)の将来性に期待する投資家はまだ少なく(業績も悪いですし)、株価上昇中とはいえPSR 0.63倍、コンセンサス予想PERは8.53倍と割安水準です。
GMの業績がこれまで通り推移するのであれば今の株価で買うのは高値掴みと感じますが、GMがグロース株へと転換する改革の時と考えるのであれば仕込み時かもしれません。
ロビンフッターがGMを買っているという不穏な噂も聞きます。ゲームストップ(GME)と間違えてGMを買っちゃってるユーザーがいるんじゃないでしょうかね。
判断の悩ましいところです。
EV転換戦略からの復活劇を見込めるなら買い!ですが、それは後述するフォード・モーターにも言えることです。ウォッチリストに加えておいても面白い銘柄だとは思います。
7.フォード モーター(F)
フォード モーター(F)、こちらも株価は上がっており、PSRは比較的高い水準です。
業績は低迷しており赤字です。
フォード・モーターは「宅配専用の自動運転車」というちょっと面白い領域に手を出しています。
家の前に車が停まると、中から人型のロボットが出てきて、ダンボール箱を手に持って玄関の前まで歩き、荷物を届けます。動画で観るとかなりシュールですが、コロナ禍においては間違いなく必要な技術です。
面白いんですが、GMやFの「グロース企業に転換できたなら割安」というのは多くのバリュー業績低迷株に当てはまる言い訳でもあり、現状として株価が高水準にあることを考えると「出遅れ銘柄」の候補に入れるのは難しいです。
GMやFについて、かなり詳しいところまで深堀りした上で、業績改善を確信できるなら大いに仕込む価値ありといった感じですが、ここでは割愛します。
8.蔚来汽車( ニオ )(NIO)
ニオ(NIO)、語るまでもなく、TSLAと同じくバブル銘柄の筆頭であるため、「出遅れ銘柄」の候補から外します。
たった1年でテンバガーをも凌駕する大暴騰を遂げたとんでもなくすごい銘柄です。
9.エクスペリ ホールディング(XPER)
おっ! PSR推移でバリエーションがまだ高くなっていない銘柄がようやく出てきました。
エクスペリ ホールディング(XPER)、IP(知的財産)ライセンスを売って収益を得ている会社ですね。正直なところ企業実態をかなり掴みづらいのですが、公式動画で雰囲気を掴んでみます。
完全自動運転が普及すれば、運転者は暇になってしまう。そのため車内娯楽である無線ラジオなどのメディアマーケティングが活発になってくると思いますが、そこに目をつけていますね。
バッグミラーなどに取り付けたカメラで車に乗っている人間の表情を解析し、喜怒哀楽などの感情や視線などの動きを読み取って、その情報をオーディオメディアの没入感を高めるために活かすとかそんな感じの特許技術でしょう。半導体のIPもやっています。
企業が出しているYouTube動画を一通り見ましたが、無駄に壮大なことを言っていて、具体性に欠けるというかイメージしづらい事業内容です。
ただ売上高はありますし、伸びています。
当期純利益で見ると微妙な感じでしょうか。
発行株式数の推移です。おや、公募増資でもしたのかな、と思って調べてみたら、20年6月頃にTiVoという会社と合併し、その影響で発行株式数が倍増していました。
TiVoもエンタメメディア系のIPライセンスの販売を行っており、例えば動画視聴者の行動分析をして「あなたにおすすめの動画」みたいなレコメンドを出す特許技術の販売をしています。
クライアント紹介を見ると、AT&T、ディスカバリーチャンネル、Google、日立、KDDI、SHARP、サムスン、Panasonic、Microsoftなど錚々たる企業の名前が並んでいます。
SHARPやPanasonicはテレビ製品関連でのIP利用でしょうね。番組録画の際に、番組表から検索をかけたり番組情報を調べたりする拡張技術の特許ライセンスをTiVoが持っているようです。
怪しい感じもしますが、投資家からさほど期待されている感じはなく、指標としては「出遅れ」銘柄にあたります。
10.百度(バイドゥ)(BIDU)
バイドゥ、中国の検索エンジンの会社ですが、自動運転にも乗り出していたようです。
こんなニュースも出ています。ドライバー不要の完全自動運転ですね。
売上高はここ数年ヨコヨコですが悪くはないです。
自動運転プラットフォームだけでなく、EV製造販売にも乗り出すようです。

自動運転関連として見た場合、バリエーションは出遅れに入れて差し支えない域にあると思います。
結論
「eMAXIS Neo自動運転」の中から出遅れ銘柄を選ぶなら、
- エクスペリ ホールディング(XPER)
- 百度(バイドゥ)(BIDU)
の2つ。あとは期待を込めて
- ゼネラル モーターズ(GM)
といったところでしょうか。
正直なところ「eMAXIS Neo自動運転」の銘柄群はバリエーションを見ても買われすぎであり、今からであればむしろ空売りしたい……と思ってしまいます。(投信は空売りできませんが)
とくにTSLAですね……。
「eMAXIS Neo自動運転」は今も人気を集めている投資信託ですが、投信は分散投資だから安心!と考えるのはちょっと怖いです。
見てきたとおりファクターとしてはかなり偏っています。各銘柄、過剰評価の株価がついている感が否めないところです。
エクスペリ ホールディング(XPER)に投資しようかどうか、今回真剣に悩みましたが、やっているビジネスが難解であるため見送ることとしました。
それでは明日も頑張っていきましょう。たこたこ^~