ほえほえ^~、お久しぶりです。迷走投資家のほえタコです。
2020年ほど投資家たちのポートフォリオに影響を与えた年は、直近10年では無いかもしれません。これまでバリューや高配当を好んでいた投資家の多くがそれらに見切りをつけ、次々とハイテクグロース株に乗り換えていきました。
たったひとつのウイルスの流行が、彼らの世界を塗り替えてしまったのです。
ポートフォリオのほとんどが高配当バリューのままである私は完全に乗り遅れ、ハワード・マークス氏の言うところの《降伏》の段階を通り過ぎて、《諦観》の領域に達しつつあります。
もはや今さらGAFAMやハイテクを買う気は起きないです。むしろ「絶対にGAFAMやQQQあたりには投資しないもんね!」と意地になってさえいます。(全然降伏してないやん!)
(ポートフォリオ内訳)
- HDV(iシェアーズコア米国高配当株ETF):57.6%
- SPYD(SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF):20.3%
- DIA(SPDR ダウ工業株平均ETF):8.8%
- VIG(バンガード 米国増配株式ETF):5.4%
- その他(個別株とかビットコインとかの趣味枠):7.9%
私の現在のポートフォリオは上のような感じです。
このうちDIAとSPYDは売却して、VIGに乗り換えよう。そしてVIGとHDV(+iDeCoの全世界株と遊びの個別株)を主軸にしていこうと考えています。
思考の整理も兼ねて「何故HDVとVIGは残り、DIAとSPYDを外したのか」について書いていきます。
1.短所を知り尽くしているから長期保有できるHDV
(青:S&P500 赤:VYM 黄:HDV Backtest Portfolio Asset Allocation)
S&P500はもちろんのことVYM(バンガード米国高配当株式ETF)にもパフォーマンスで負けているHDVを私がガチホできる理由は
- そもそもHDVへの投資を決めた2018年時点でHDVは他のETFに負けており、最初からパフォーマンスについては何も期待せずに投資をおこなっている
- HDVの短所・欠点・リスク・悪いところを知り尽くした上で投資しているため、他者からHDVについて否定的なことを言われても(それはとっくに既知の情報であり)動揺することがない
概ねこの2点に集約されます。
長期保有を決めた銘柄を売却してしまうのは、そこに《認知的不協和》が生じるためです。
即ち、自分の思い描いていた未来、予想とは異なる現実に直面し、そのギャップに耐えられなくなる。
「思っていたのと違った」「想定外の事態」に人間は不快感を覚え、その不協和を解消しようとします。
今回HDVが市場平均にパフォーマンスで惨敗したり、3月暴落時のHDV銘柄入れ替えでXOM(エクソンモービル)の保有比率が逆張り買い増し的に上昇したりしたことなどは、すべて私にとっては「想定内」でした。
「当然そうなるだろうな」と予測していた通りだったので、損切りする事態には陥りませんでした。
むしろ、HDV構成比率20%を超えるエネルギーセクターが壊滅し、筆頭銘柄のXOMが株価半減レベルで暴落しているのに、コロナショック時のHDVとVYMの下落率が同程度で済んだ事実はポジティブ・サプライズでした。
HDVはその特質として「企業成長に一切期待しない」戦略を取るETFです。
もし企業成長に期待するのであれば「3ヶ月に1回の頻度で、値上がり銘柄を手放し、値下がり銘柄を追加する」HDVの逆張りスイング戦略は一切不要どころか逆効果です。
VYMは「バリュー株全体の市場評価が是正されること」に賭けるETFであるのに対し、HDVは「クオリティ・バリュー銘柄への逆張りスイング戦略が有効であること」に賭けるETFです。
両者は高配当という括りでは似ているようでいて、そのじつスタンスのまったく異なるスマートベータETFであることは認識しておきたいです。
2.正直期待をかけすぎていたSPYD
(青:VYM 赤:HDV 黄:SPYD Backtest Portfolio Asset Allocation)
パフォーマンスにも企業成長にも一切期待していなかったゆえに持つことのできたHDV。
その逆で、SPYDには投資時点で期待をかけすぎていたのが、持ち続けられなかった一番の要因です。
上のバックテストのチャートのとおり、SPYDはコロナショック前までは高配当ETFのなかで最も優秀な「勝ち組」でした。
HDVやVYMと比べてパフォーマンスは高く、ともすればS&P500にも勝てるんじゃないかと期待させるほどの好成績でした。
SPYDはボラティリティの高い中型株の割合が多いとはいえ、その構成銘柄はすべてS&P500に採用されている優良企業です。
それがコロナショックで-45%超も暴落し、その後も株価が回復しないで低迷する自体になろうとは、誰が予想できたでしょうか。
繰り返しますがSPYD構成銘柄はすべてS&P500採用銘柄であり「時価総額が53億ドル以上あり、4四半期連続で黒字の利益を維持している」というクオリティ・フィルターが一応は効いています。
それがまさかコロナショックでここまで落ちるとは、スモールキャップ・バリューの指数以上に売られることになるとは「予想外」であり、耐えられずSPYDを投げ出してしまった人たちは皆この認知的不協和にやられました。
もうひとつの「予想外」はSPYDが《6ヶ月に1回の本来の銘柄入れ替え時期》を待たずして、(コロナショックで無配転落した)19銘柄を特例的に早期に除外してしまったことです。
SPYDは80銘柄均等加重ですから、そのうち19銘柄を外すとなると全体の23%に影響を与える一大事です。「無配転落した銘柄」や「S&P500構成から外れた銘柄」を(本来の入れ替え時期を待たずに)その直後に除外してしまっては、それこそ大底で投げ売りするようなトレードになってしまいます。
このSPYDの《無配転落株は即座にぶん投げ》挙動が私にとっては完全に想定外でした。
ちなみにHDV構成銘柄もコロナ影響でLVS(ラスベガス・サンズ)などが無配転落しましたが、本来の構成銘柄入れ替え日までHDVはLVSを手放すことなく持ち続けています。
SPYDは益回り7.72%に対して配当利回り6.05%なんで、このまま株価がずっとヨコヨコで低空飛行していても、配当金額が変わらないのであれば不満はないです。(ただ売ってしまいたい気持ちは正直ある
— ほえタコ (@HoeTako) August 28, 2020
SPYDはまだNISA枠で含み損のため、売っていません。
コロナ問題が収束する頃合いにはSPYDの含み損も解消されているだろう(希望的観測)と思うので、頃合いを見計らってVIG&HDVにスイッチングする予定です。
3.面白いけれど株価が気になってしまうDIA
DIAはダウ工業株平均30種に投資するETFです。
ダウといえば直近にビッグ・ニュースがあり、
XOM(エクソンモービル)、PFE(ファイザー)、RTX(レイセオン・テクノロジーズ)が指数から除外。
代わりにCRM(セールスフォース・ドットコム)、AMGN(アムジェン)、HON(ハネウェル)が採用されるといった過去最大級の銘柄入れ替えが発表されました。
ダウ銘柄変更:PER・PBR・配当利回り
(退場)
XOM:23.82・0.94・8.70 %
PFE:15.04・3.29・3.94 %
RTX:42.50・1.38・3.13 %(採用)
CRM:108.93・6.38・無配
AMGN:20.42・13.75・2.56 %
HON:20.33・6.39・2.18 %— ほえタコ (@HoeTako) August 27, 2020
何かと話題に事欠かず、ダウへの投資は非常に面白いとは思っていますが、その反面、ニュースや株価が嫌でも目についてしまうのが心理的なデメリットです。
事あるごとにS&P500やNASDAQとパフォーマンスが比較されますし、常に何かしらのニュースが流れてくる。例えばダウ銘柄入れ替え発表後に、除外予定のXOM・PFE・RTXが揃って急落したとか、そんな余計な情報まで飛び込んできます。
(青:DIA 赤:VIG Backtest Portfolio Asset Allocation)
ご覧のとおりDIAとVIGは長期的に見てもパフォーマンスがほぼほぼ同じです。
それなら経費率も低いし、VIG 1本に絞ろうかなということで、DIAを売ってVIGに乗り換えました。
PERが108.93倍もあるCRM(セールスフォース・ドットコム)をダウが新規採用したことも、若干嫌気しています。……が、高PER銘柄自体はVIGにもたくさん入っているのでそこまでは気にしていないです。
HDVとVIGの2本軸が生み出す《ファクター》投資
HDVとVIGの2本軸でポートフォリオを構築するということは、当然そこには《ファクター》の偏りが生じます。まず、ハイテク割合が市場平均よりも少ない。そして、大型バリューファクターに寄っている。
HDVもVIGも「配当に着目した、クオリティ銘柄に投資する、低ボラティリティ戦略である」点で共通しています。
ただしアプローチ方法が真逆で、HDVは「高配当バリュー銘柄への逆張りスイング投資」かたやVIGは「連続増配グロース銘柄への順張り長期投資」です。
上で調べたところVIGとHDVの銘柄重複は13%しかなく、いい感じに分散できています。HDVでオーバーウエイトしているエネルギーセクターがVIGには含まれていないのも相性が良いと言えるでしょう。
個人的には、VIGとHDVのコンビにすごくしっくり来ています。
ブログ更新するたびに投資方針が変わってるじゃねーか!!とツッコミを受けそうですが、今年はほんとやむを得ないです。迷走を宿命づけられた年とも言えるでしょう。
「心理的効用を最大化」とは謳っていても、実際に保有してみないことにはどの銘柄・投資戦略が自分に合っているかはなかなか分からんもんですね。
VIGとHDVを軸に、そしてiDeCoの全世界株と遊びの個別株枠で今後はポートフォリオを運用していこうと思います。
それでは明日も頑張っていきましょう。たこたこ^~!