ほえほえ^~、どうも、絶賛含み損投資家のほえタコです。
先日書いた記事「【葛藤】もうぜんぶ全世界株にしようかなという気持ち」のとおり、高配当スマートベータETF戦略 → 全世界市場ポートフォリオ戦略への方針転向を迷っています。
VT(バンガード トータル ワールド ストックETF)やeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)などを通じ、全世界株に手軽かつ低コストに投資できる良い時代となりました。
全世界市場ポートフォリオは世界人類がより豊かになる未来を願い、資本主義社会の永続的な存続と発展を信じる投資戦略です。
資本主義経済が発展する限りにおいて、長期的な期待値は必ずプラスとなる(はず)です。
グロース株やバリュー株、高配当株といった特定のファクターの成長に賭けるでもなく、ハイテクやヘルスケアなどの特定セクターに賭けるでもない。アメリカや中国といった特定の国に賭けるでもない。
全世界市場ポートフォリオはその名の通り、世界全体の成長に賭けます。
ファクターによってこうもはっきりと勝ち組と負け組の分かれる状況となって、自分が勝者の側に立てるとは限らないことを思うと、やはり私のような豆腐メンタル投資家には全世界株ポートフォリオこそが最終的に到達し得る安楽地のように感ぜられる。
— ほえタコ (@HoeTako) July 10, 2020
世界経済の発展を信じ続ける限りホールドできる全世界株ポートフォリオは、まさにこのブログのテーマである「心理的効用を最大化させる、豆腐メンタル投資家のための戦略」に相応しい投資戦略であると言えるでしょう。
しかしこの「世界経済の発展を信じ続ける限り」の部分が厄介です。
そう、全世界市場ポートフォリオを貫き通すためには、未来をある程度は楽観し、そして人類の可能性を信じることが必要となります。
2018年のポートフォリオ構築時、私がVT(全世界)ではなくあえてHDV(iシェアーズコア米国高配当株ETF)を選んだのは、未来に超悲観的だったからです。米中貿易戦争も激化していましたし。
悲観していたからこそ、財務健全エコノミックモートのクオリティフィルターで厳選された米国優良企業に投資できるHDVを選好したわけです。
投資先の企業を厳選するHDVと、すべてに丸ごと投資するVTとでは、投資戦略が対極に属します。
私が葛藤し迷いつつも即座に全世界市場ポートフォリオに移行できないのは、VTと正反対の投資スタンス(HDV)をこれまで取ってきたからというのは大きいです。
(青線:VT / 赤線:HDV ※出典:PORTFOLIO VISUALIZER)
あとはVTもHDVも長期パフォーマンスが似たりよったりなので、まぁどっちでもいっかと考えていた部分も正直あります。
さておき、VT(全世界)ではなくあえてVTI(米国株)に投資している人も多いと思います。
VTIに投資している人全員が
と楽観的に考えているかというと多分そうではなくて、
みたいな悲観的な理由でVTIを選好する投資家さんもいるかもしれません。
高配当株投資家だって、
と自信満々に投資している人は都市伝説級に稀であり、実際は
とやはり悲観的、どころか自己不信によって高配当バリュー戦略を選好している人も少なくないと思います。
バリュー戦略にせよグロース戦略にせよ、TwitterやブログやYouTubeでは「自信満々!」なインフルエンサーさんが可視化されやすいです。それはもちろん、自信なさげに「未来はわからないです……」と言っていてはファンはついてこないので、自信のあるように振る舞わなければいけない事情があります。
さておき、その人の投資スタイルは「何を信じられるか」「何に対して楽観的でいられるか」で決まるようでいて、じつはその逆なんじゃないかと考えています。
すなわち「何を信じられないか」「何に対して悲観的か」によって投資スタイルが決定される。
より正確に述べれば「何より何は信じられるか」「何より何には楽観的でいられるか」という相対的な価値判断が投資スタイルに影響します。
全世界市場ポートフォリオ戦略の人だって、
と心から信じているわけではなくて、
といった理由が投資理由の大半を占めるのかもしれません。それはともすれば消極的で悲観的で自己不信的に映るかもしれませんが、決して悪いわけではないです。
思えば、米株クラスタ三大論争である「インデックス投資 vs 個別株投資」「ドルコスト平均法 vs 一括投資」「ハイテクグロース vs オールドエコノミーバリュー」だって似たようなものです。
インデックス投資家はインデックス投資を盲信しているわけでなく「自分が個別株をやってもうまくいかない(うまくいかなかった)」という《不信》がある。
個別株投資家は自分の銘柄選定能力を過信しているわけではなく「インデックス指数には自分が投資したくない財務の悪い企業が入っている」という《不信》がある。
ドルコスト平均法を採用している人は、ドルコストがリスクを下げるとは考えていないが「給与が毎月一定なんだから仕方なく」あるいは「市場が右肩上がりで成長してゆくと信じられない。大暴落期間を挟むのであればドルコストの方が心理的に良い」と考えている。
一括投資派は「ドルコストだとライフサイクルの後期に投資が集中するのでリスクが高くて嫌だ」と考える。
なんであれ、どのような投資スタイルを「信じるか」は、何を「信じられないか」とセットであり、悲観と楽観は表裏一体です。相対的により心地良い投資戦略を人は求めます。
閑話休題。
表題の「全世界市場ポートフォリオは未来に楽観的な投資戦略なのか?」に対してはこう答えます。
全世界市場ポートフォリオ戦略を取るにあたって、未来に楽観的であり、資本主義経済の発展を確信する必要は必ずしもない。
グロースやバリューといった特定のファクター、特定のセクター、特定の国への投資を「信じられない」のであれば、その消極的・悲観的・相対的な理由によっても全世界市場ポートフォリオ戦略は十分に取り得る。
「信じること」は「信じられないこと」とセットであり、どのような投資スタイルにもそのような側面がある。
といったところでしょうか。
余談ですが私が小学生のとき、社会の先生から
「石油はあと50年もすれば枯渇する。電気はなくなって、人間は原始人時代の頃に戻るかもしれないぞ」
みたいなことを言われて、「ふぇぇ……自分が大人になる頃にはみんな原始人になっちゃうんだ。世界は終わるんだ」とめっちゃ怯えて電気を使うときもビクビクしながら生活してました。
今となっては笑い話ですが、ここまで極端な悲観主義者にならないための理論武装&知識は必要です。
長期投資では「正しく楽観して、正しく信じる」こともやはり大切かもしれません。
それでは明日も頑張っていきましょう、たこたこ^~。